「…地下牢」

愕然とする。
日の当たらない陰湿な地下牢にスリザリンの寮はあった。

「私こんな所嫌です。もっと暖かい部屋がいいです」
「暖炉があるから構わんだろう」
「違います。太陽に当たりたいです」
「ミスカワウチは植物だったのかな?光合成でもせねばならんのか?」
「…はぁ」


階段を登れば女子寮らしい。


「今は長期休暇で誰もおらんが9月1日になったら皆帰ってくるだろう。本来部屋は数人に一部屋だが途中編入のミスカワウチは一人部屋だ」
「寂しいです」
「スリザリンは純血主義だ。それなのにマグル生まれのお前がなぜスリザリンになったのか…理由はわかるかね?」
「純血ってなんですか?」

寂しいですの発言は無視されたが、私の質問には答えてくれた。

「代々魔法使いの家系の事だ。お前の両親はマグルだろう?」
「…マグルってなんですか」
「魔法使いじゃない人間の事だ」
「なるほど。はい、私の両親はマグルです。それはいけない事なんですか?」
「それはこれからの学校生活でわかっていくだろう。見るからに図々しく図太そうなミスカワウチに忠告する事は無さそうで」
「先生って本当失礼ですね。いやいいですけど。忠告ってなんですか?」

その場から早々と立ち去ろうとする先生のローブを掴んだ。

「まぁ、マグル生まれの魔女がこの寮で歓迎される事はまず無かろう」
「…え、じゃあこの寮の人はみんな純血なんですか?」
「左様」
「他の寮の人も?」

だんだん不安になってきた。
魔法学校での生活なんて楽しいだけだと思っていたのに。

「他の寮にはマグル生まれも純血も様々だ。しかしミスカワウチ、お前はスリザリンの生徒。自分の寮は自分の家と校長から言われなかったかね?」
「あぁ…そういえば」

ダンブルドア校長かマクゴナガル先生から聞いたような。

「自分が過ごしやすい学校生活にするには、どうすればいいかよく考えて行動する事だな」

そう言うとローブを翻して立ち去った。




この寮からは月も見えない。







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