忘れ物はないか2つの大きなキャリーバックの中身を確かめた後、この家の主人に礼を言って駅まで車送ってくれるという女性と共にキャリーバックを運ぶ。
両親は後で駅にくるらしい。何かする事があると言っていた。
キャリーバックをトランクに詰め女性の車に乗り、外の景色を眺めながらぼんやりと記憶をたどっていった。
4月初旬生まれの私は同級生の友人の中で一番早く13歳になった。小学校を卒業し、今年は中学校に入学だ。
楽しい事や自分の知らない事を知る事が大好きな自分にとって、兄弟も居ないし両親は海外での学校生活しか送った事がないので誰からも中学校の話は聞く事が出来ず、未知の世界である中学校への入学はただ楽しみなものだった。
4月に入ってすぐの私の誕生日の日に私あてに一通の英語で書かれた手紙がきた。
普段はポストなんかみないが誕生日とは気分も良いもので朝起きてすぐポストの中をなんとなく覗いてみたのだ。
そこに届いていた私あての手紙をみて、宛名や住所が英語だったし日本のお店では見慣れない封筒だったので最初は英会話教室の友達からのバースデーカードか何かかと思った。何が変というわけではないがどこか不思議なその手紙が気になった私はそのまま玄関で差出人も見ずに封を切った。どんなバースデーカードかとワクワクしながら。
それはバースデーカードではなくホグワーツ魔法魔術学校への入学案内書だった。両親にこのような手紙がきたと告げるとあまり良い顔はしなかった。
驚きと焦り。それが二人の顔に浮かんでいた。すると父はまるでこの先何が起こるか、そこがどのような場所か知っているかのように不安要因を口にし始めた。
「遠い」「お父さんが知らない学校だから不安だ」「魔法なんてあるわけがない」
そりゃあ13歳になったばかりの一人娘を得体の知れない魔法魔術学校なんかに入学はさせたくはないだろう。
それでも私は行きたい。行ってみたい。この手紙は最高の誕生日プレゼントだ。
両親に強くそう伝えたるとしぶしぶだが入学に許可をしてくれた。
「ホグワーツは11歳の子が入学する学校なんでしょ?カオリはもう13歳なのに入学できるの?」
ハッと現実に戻された。女性の質問。「あぁ、はい。えっと、特別に13歳からでも入れるようにしてくださったんです。本来なら13歳でも新入生として入学する事になるらしいんですが編入生という形で特別に」
女性はへぇ〜と言って車を右に曲がらせた。
「なんで11歳の時に手紙来なかったんだろうねぇ?」
そのまま車は真っ直ぐ進む。
「…ほんと何でだろう。2年もたってからくるなんて。
日本だから遠くて私の存在に気づかなかったのかな?」
それはおっちょこちょいな学校だね。
笑いながらそう言った女性は次は日本での生活について質問してきた。
そんな話をしているうちに車は駅へとついた。
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