パーキンソンから面と向かってなかなかに酷い罵声を浴びせられたハロウィンパーティーの夜。悪夢のようだ。


スリザリン生は私をチラチラ見ながら様々な事を話している。パーキンソンは言い過ぎだ、とか、カワウチが悪い、とか。私はとりあえず最高に居心地が悪いここを去る事にした。二度とパーキンソンには関わらないと決めて。


大広間の扉に早足で向かっているとスリザリン生以外の生徒もこちらを見ている事に気づいた。







「えーっと、カオリ?」

談話室でぼんやりとソファーに座っていると後ろから声をかけられた。完全に自分の世界に入っていたので驚いて肩をすくめた。

「あ、え、どどどドラコ?」

無駄に慌てて立ち上がりドラコの方を向く。

「今日は大広間で全校生徒寝る事になった」
「え?大広間で?」

いきなりの報告に戸惑っているとドラコは「早く来いよ」と目で訴えた。

「パーティーで使ったんでしょ?臭わない?」
「バカ言うな。ここは魔法魔術学校だぞ?」
「そっか…じゃなくて、なんで大広間で寝なきゃいけないの?」

スリザリンの談話室を抜けて廊下を歩く。静かだ。

「シリウス・ブラックがホグワーツに侵入したんだ」
「…シリウス・ブラック?なんか聞いた事ある名前だなぁ」
「そりゃアズカバンから脱獄したって今大騒ぎだからな。耳にくらい入るだろ」
「あ、そういえばハーマイオニーが」


ハーマイオニーが言っていたな。
そう言うとドラコは露骨に嫌そうな顔をした。どんだけ嫌いなんだ。


「ていうか私に近づかないでくれませんかドラコさん」
「は?いきなりなんだよ」

こいつもハーマイオニーを穢れた血とか言うのか…と思うと先ほどのパーキンソンを思い出した。

「あなたのせいで私パーキンソンから相当嫌われてるの。嫌われてるだけなら良いけどあの子喚くから…ちょっとね」
「それと僕なにか関係あるのか?」
「パーキンソンはドラコが好きだから私が気にくわないみたい。私とドラコが仲良くしてるのとっっっても気にくわないみたい」
「…なんで僕とカオリが仲良くしてたら気にくわないんだ?」
「うっわドラコって鈍感最低」
「なんでそこまで言われなきゃなんだよおい」


鈍感そうだなとは思っていたけど、ここまでとは。


「ていうかどうして私に構うの?私はドラコが嫌いな穢れた血じゃない」
「君は違う」

その返事に思わず「は?」という間抜けな声がでた。やはり、こいつは変だ。

「えっと、違わないけど」
「……」

ドラコは正に苦虫を咀嚼したような顔をしている。

「まぁ、いいんだ」

ぷいっと顔をそらしさっさと歩きだすドラコ。慌てて後ろを追う。
私からしたらよくない。気になる。

きっと言いたくない事なのだろう。言えない事かもしれない。
だけど私に関係している事だ。できるだけ早く知りたい。

「ねぇ、気になる」
「気にしなければいい」
「そんな」






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