翌朝朝食の席に向かっていると意外な人物が挨拶をしてきた。


「マルフォイ…だっけ」
「ドラコで構わない」

何がそんなに偉いんだ。
偉そうに立ち、偉そうに笑い、腰巾着をつけるドラコが私の前に立つ。前に進めない。

私は食事を食べに向かっていた。



「…えっと、邪魔なんだけど」
「お前カワウチっていったな?」
「…カオリ・カワウチ」
「カオリ・カワウチねぇ…その顔は日本から来たって言ってたな?両親は本当にマグルか?」
「そうだけど、なに、あなたもバカにしに来たの?」

そう言うとドラコは「違う」とだけ言った。
というか私とドラコが一緒に居るとまたパーキンソンが嫉妬するかもしれないし出来れば関わりたくない。


「マグル…まぁいいや。お前昨日のでスリザリン生からは嫌われたぜ?」

面白そうに笑うドラコは綺麗な顔。瞳も髪も正に宝石だ。モテそうだな。

「私が嫌われた?なんで」
「パーキンソンと喧嘩はするしマグル生まれだし。性格悪そうだなんて言われてたぜお前」「…私よりパーキンソンの方が性格悪いと思うんだけど」
昨日のチキンがかわいそうだ。

「マグル生まれは歓迎されない」

なにがおかしいのか、ニヤニヤと笑うこいつも随分と性格は悪そうだ。
格好いいのは顔だけか。
残念系イケメンだな。

なんて返そう。そう考えていると「カオリおはよう」という声。

「あ、ハーマイオニー!おはよう」

朝食を食べにきたらしいハーマイオニーがそこには居た。赤毛と丸眼鏡も。
三人は仲が良いようだ。

「…ふん、グリフィンドールなんかと仲良くなりやがって」
「なんだよマルフォイ」

赤毛は今にもドラコに飛びつきそうだ。

「君もスリザリンの生徒ならあまりグリフィンドール生と仲良くしないでくれないか?」
「え?」

さっきまでニヤニヤと笑っていたドラコは打って変わって苛ついた表情で私を見ながらそう言った。何に機嫌を害したのかよくわからないが、短気だなぁ。

「どうして」
「どうしてもだ。とくにその穢れた血とは仲良くしないで欲しいね!穢れた血と仲良しなんてスリザリンの品が落ちる」

ドラコの腰巾着と野次馬な周りのスリザリン生が笑う。
ドラコはふふんと聞こえてきそうな表情、ハーマイオニーは傷ついたような表情をしていた。


「おいマルフォイ!ハーマイオニーに謝れ!2度目だぞ!
それに僕聞いたぞ、そいつもマグル生まれなんだろ?!」

ひどく怒っている赤毛が私を指差す。
ハーマイオニーは「いいのよロン」と力無く赤毛のローブを掴む。

「カオリがマグル生まれだって?証拠はあるのかよ」
「証拠?本人がそう言ってるのに証拠もくそもあるか!」
「ふん。マグル生まれはスリザリンに入れない。絶対にだ。混血ならまだしも、穢れた血なんて…それは創立者の徳目だ。
それが何よりの証拠じゃないのか?」


穢れた血とハーマイオニーを侮辱されたロンは今にもドラコに飛びつき噛みつきそうだ。


「…だけど私の両親はマグルだよ」

言い争う2人に口を挟んだ。
そうするとまた、ニヤリとドラコが笑う。

「ほら、マグル生まれじゃないか。帽子がそんな気分だったんだろ。自分の寮にも品を落とすような奴が居るくせに、ハーマイオニーにそういう事言うなよ!」
「まぁ、そう思っとけば?」

全部僕は知っているから。

うっすらと笑みを浮かべたドラコがそう書いているかのような薄い青の瞳で私をみる。







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