1年生の組み分けが終わりダンブルドア校長のお話になった。シリウス・ブラックが…とかディメンターが…とか私にはよくわからない話だった。1つわかったのは新しい先生が赴任したとかそういうの。
そんなこんなで長テーブルに並べられたご馳走。
他の寮の生徒は楽しそうに食べているがスリザリンの生徒はそうじゃなかった。
私の話題を誰かが始めないかと待っているようだ。
さっきまで話していたドラコ・マルフォイは考えるように黙っている。
「なんでマグル産まれの子がスリザリンなわけ?」
最初に口を開いたのはドラコ・マルフォイの隣の女子生徒だった。
ドラコ・マルフォイを挟んでその女子生徒は私に話しかけてくる。
「え、知らない」
女子生徒は汚いものでも見ているかのように私を見る。
「信じられないわ。どこか違う寮に行きなさいよ」
「そう言っても私はどうも出来ないんだけど…。校長先生に言ってよ」「うるさいわね。ドラコの隣に座らないで。あんたなんかグリフィンドールにでも行ってなさいよ」
「無理。グリフィンドールのテーブルがどこかわからないもん。案内してくれるならいいけど」
間に挟まれたドラコ・マルフォイは迷惑そうな顔をしている。
女子生徒は私の発言を聞いてカァっと顔を赤くした。怒りで。
「あなた生意気ね。この席に座らないで頂戴!」
その女子生徒は私の前にあったチキンをひっつかんで床に投げつけたかと思うとその手で私の襟足を掴んで私を椅子から落とした。
何度も言うが間に挟まれたドラコ・マルフォイは迷惑そうな顔をしている。女子生徒の動きに合わせてぶつからないように体を動かしていた。
「あんたなんか床で食べてなさいよ」
勝ち誇ったように私を見下ろしてくる。
床に落ちたチキンの前にべたっと座りこんだ私は最初こそぽかんと女子生徒を見上げて周りの笑い声を浴びていたが怒りがこみ上げてくる。
私は目の前にあったチキンを手につかみ立ち上がる。
「食べ物を粗末にしちゃダメなんだよ。自分で食べてね」
女子生徒の膝の上にチキンを乗せてあげた。
「あとその汚い手で私に触らないで」
チキンを掴んだ手で人を触るなんて非常識だ。信じられない。
しかし今の状況を信じられないのは女子生徒も同じようで、膝の上のチキンを見るや否やチキンを投げ捨て立ち上がり、さっきチキンを掴んだ手で私をひっぱたいた。
周りのスリザリン生は笑ったりやじを飛ばしていた。他の寮の生徒でこの争いに気づいている生徒はスリザリン生と同じような反応をし、気づいていない生徒はこの時間を楽しんでいる。
「この穢れた血。調子に乗らないで」
女子生徒がギラリと私を睨む目は冷たかった。
「うるさいぞパーキンソン」
いきなりドラコ・マルフォイがそう言った。パーキンソンと呼ばれた女子生徒は鼻にかかった声で「ごめんねドラコ」と言ってべったりとドラコ・マルフォイの隣に座った。
こいつ、ドラコに隣に座れと言われた私に嫉妬したな。
お絞りで手をふいたパーキンソンはドラコにべたべた。私はその場に1人立ち尽くし、2人をみていた。
野次馬は去り、スリザリンのテーブルでも談笑が始まる。
私もさっきまで座っていた席に座りお絞りで頬と手を拭いて食事を始める。ふと、初めて会った日のスネイプ先生の言葉を思い出した。
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