さっきの女子生徒の時計だろう。後で届けようと砂時計をローブのポケットに入れる。
なかなか大変だったがやっと大広間に着き、スリザリンのテーブルに向かった。

スリザリンのテーブルの近くをうろうろしているとそこで楽しそうにお喋りをしていた沢山の生徒の目が私を捕らえた。

さっきの事もあり少し怖かったが同じ寮だし大丈夫だろう。きっと良くしてくれる。
さて、どこに座ろう。


「おい」


よく通る声がした。自分にかけられたものかどうかはわからないが声の方をみる。


青白い肌に尖った顎。プラチナブロンドの髪と薄いグレーのような薄青のような瞳。日本人の私とは真逆の物を持っている男子生徒だった。


「お前だよ。僕はお前に話しかけたんだ」
「え、」
「ここ空いてるぜ」

男の子は自分の隣の席を叩く。

「座っていいの?」
「あぁ」
「ありがとう」

その席に座るも周りからの視線は変わらない。むしろ痛くなったような気がする。

「お前見ない顔だな」
「編入してきたの。夏休みからホグワーツに来たんだよ」
「編入?今年からか?」
「うん。春にホグワーツから手紙がきたから。普通は11歳で入学らしいね」「…お前名前と歳は?」
「カオリ・カワウチ。13歳よ」

綺麗な瞳の男子生徒は私をじっと見ながら質問してくる。

「カワウチ…。僕はドラコ・マルフォイ。同い年だ。どこから来たんだ?」
「日本」
「ふーん」

周りは私達の会話に興味津々なようだ。
大広間はガヤガヤと騒がしいがこの周りは私とドラコ・マルフォイの声しかしない。

「両親は何してるんだ?君が13になるまでホグワーツに入学させないなんて、何か事情があったのかい?」
「え?」
「日本なんて遠いし何か事情があったんだろう。勉強は僕が教えてやるよ」
「事情ってなに?」

ドラコ・マルフォイはペラペラと話すがよく意味がわからない。

「君が13になるまでホグワーツに入学しなかった事情だよ。あ、聞かない方が良かったかな?それとも君の両親は君をスクイブとでも思っていたのか?」

ドラコ・マルフォイがそう言うとみんなはドッと笑い出した。

「…スクイブ?」

聞き慣れない単語。この魔法界用語はまだまだ知らない物だらけだ。

「お前スクイブを知らないのか?」
「知らない」
「…両親は魔法使いじゃないのか?」

今まで楽しそうに輝いていただったドラコ・マルフォイの薄いグレーの瞳がどんどん曇っていく。

「私の両親はマグルなの。ずっと魔法なんて関係ない世界に生きてたから魔法界の用語はあまりわからないんだよね。マグルの意味は夏休みに先生達から聞いたから知ってるけど」


私がそう言うと大広間の扉が開いてマクゴナガル先生と小さな子供達がぞろぞろと入ってきた。







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