いつもと同じようで違う事。それは、この特力の教室に本来なら居ないはずの安積さんが居る事だ。
お互い同じ年齢、同じ時期に入学した初等部の頃からのクラスメイト。話した事は二度あるかないか。目をあわせた事は三度あるかないか。


「…倉木さんって特力だったんだ」


目があうなり安積さんはそう聞いてきた。ヘラヘラと笑みを浮かべ、まぁクラスメイトだし話しておかなきゃかなとでも思っていそうな態度で。ムカつく。


「うんそうだよ。安積さんは…どこだったっけ?」
「こいつも今日から仲間だと思って、まぁひとつよろしく頼むな!」


私が安積さんのアリスすら思い出せず、能力別クラスはどこだったか聞いたらすぐ側にいたユッキーが口を挟んできた。


「同い年の女子って特力には晴菜しか居ないからなー。世話はまかせた」
「…はは、そうだったね」


確かに特力に同い年の女の子は居ないけれど、なぜ私が?というか世話って何をしたらいいんだ?
チラリと安積さんを見たら何だか申し訳なさそうな、いつもの頼りない困り顔。さっきの笑顔はどうした。


安積さんが悪いわけではないけど、私は安積さんが嫌いだ。何が嫌いかはわからない。何となく、初めて会って「同い年で同じ時期に入ったんだから二人仲良くしてね」と、教師に言われてお互いに「よろしくね」をした瞬間にナゼか嫌いになってしまったのだ。生理的に嫌いというかなんというか。


「よろしくね、安積さん」


とりあえず、笑ってそう言っておく。


「ありがとう倉木さん」


安積さんも最初のヘラヘラ笑いを見せてそう言った。ありがとうってなんだよ。






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