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「いきたいか?」
 新崎の言葉に小さく頷いた。あともう少し擦ってくれたら、絶頂を迎えられる。
「腰を振りながら、いかせてくださいと言え」
 従う以外にない。だが、直広は弱々しく首を横に振った。最後の理性が羞恥心を思い出させた。理性と吐き出したい熱の間で、直広は小さく嗚咽を漏らす。
「命令には絶対服従だ。どんな要求も飲めと言っただろう? できないなら、いつでもあのガキと交代していい」
 直広は拘束されている手首を動かし、拳を握る。新崎の指に翻弄され、史人のことをすっかり忘れていた。
「あや、は、どこ……」
 嗚咽の合間に言葉をつむぐと、男が、「地下にいる」と言った。直広は地下にいる史人はさぞ心細い思いをしているだろうと思った。こんなことは早く終わらせて、史人のもとへ帰りたい。直広はその一心で、小さく腰を動かした。
「い、いかせて、ください」
 新崎達は笑うばかりで、直広のペニスへ触れてくれない。大粒の涙を流して、直広は大きな声で繰り返した。
「もっと腰を振れ」
 今になって急に思い出した。店長から風俗に行け、とからかわれ、直広は内心、そういうところで働く人間を侮蔑していた。貧しくても、仕事を掛け持ちして働く自分はまっとうだと信じていた。金のために体を売るなんて、最低の仕事だと考えていた。
 自分も同じ立場になってしまった。初体験は好きな人としたい、と夢見ていたくせに、彼女を抱かず、寂しい思いをさせた。彼女のことも健史のことも責められなかった。自分にも非があったからだ。
 新崎がささやく言葉を繰り返す。
「おれの、やら、しい、チンコを、って、こすって、ください、い、っ、いかせて、ください」
 直広が泣きながら、何度目かの言葉を吐くと、新崎がペニスを擦り始める。
「いく時はいくって言えよ」
 頷くだけで精いっぱいの直広は、新崎の指がなぞっていく感覚に喉を鳴らした。浮き上がっていた腰を動かし、すぐに、「いく」と発する。ペニスがひくりと動き、けいれんを始めようとした瞬間、新崎は手を離し、代わりに睾丸を潰すようにつかんできた。
「っああ!」
 あまりの痛みに直広は一瞬、呼吸を忘れた。絶頂までの快感は睾丸にもたらされた痛みで消えていく。新崎は素早く直広のペニスを擦り、直広自身が気づくより早く、勃起したペニスへシリコン製のコックリングをはめた。まだ痛みから回復していないのに、ペニスへ熱が集中していく。
 直広は短く浅い呼吸を繰り返し、涙を流し続けた。意識を失えたら楽になると思うのに、神経は興奮した状態だった。
「い、いかせ、て……」
 コックリングの締めつけのせいで、直広の勃起したペニスはその状態を維持し、決定的な絶頂は先延ばしされていた。新崎が露出している亀頭部に潤滑ゼリーを垂らす。
「っあ、ふ、あ、ああ、や、いく、い、やっ」
 新崎が指の腹で亀頭部をなでた。直広は腰を突き出すようにして激しく動かす。コックリングは射精までの時間を長引かせる。射精するまでペニスを擦れば、もちろん吐精することはできる。直広は新崎の指先に翻弄されながら、あともう少し、と自ら動き続けた。
「ずいぶんと低俗だな」
 新崎は嘲笑した後、直広のペニスから離れた。
「犬が主人より先に射精できると思うか?」
 刺激をなくしたペニスは勃起を保ったまま放置される。直広は再び嗚咽を漏らした。男達が磔台の拘束を外す。直広がペニスへ触れないよう、手はすぐにうしろで拘束された。立ち上がって歩く力は残っていない。男が直広の体を引きずるように、シャワールームへと連れ込んだ。
「まずは下の口をきれいにして、拡張とおしゃぶりの練習だ。おまえが射精できるのは、俺達が満足してからだ。分かったら、バスタブの縁に顎を乗せて、ケツだけこっちに向けろ」
 ためらえば、また史人のことを持ち出される。直広は子どものように泣きながら、クリーム色のバスタブの縁へ顎を乗せた。

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