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spleen40

 創太の様子に気づいたフェリクスが、いったんキスをやめた。
「大丈夫?」
 フェリクスに聞かれて、創太は頷く。頷いたが、創太のペニスは硬さを増すばかりだった。
「脱いでいい?」
 嫌だと言いたかったが、よほど窮屈だったのか、フェリクスは素早く制服のズボンを脱いだ。創太はすでに着替えていたため、動きやすいパンツをはいていた。下着まで下ろした彼は、恥ずかしがる必要もない立派なものを創太の目の前にさらした。
 顔に熱が集中するのが分かる。創太が戸惑うと、フェリクスはベッドに腰かけた。
「大丈夫。創太の準備、待ってる」
 フェリクスは創太がしてもいいと思うまで待つと言いたいのだろう。
「創太の、見せて」
 創太はくちびるを噛み締めた。見せることには抵抗感がある。フェリクスは笑わないだろうが、もしかしたら、「可愛い」と言われるかもしれない。そんなことを言われたら、立ち直れそうにない。
 悩んでいると、フェリクスがベッドに乗り、もう一度、創太をまたいだ。体をつなげるのはまだ早いと思っていた創太は、首を横に振る。
「やだ、フェリクス、俺、まだしたくない。怖い。まだ無理だ」
 フェリクスは、「分かってる」と言った。また首筋や頬にキスをされる。彼の手がパンツにかかった。脱がされている、そう感じても、本気の抵抗はできなかった。分かっていると言った彼の言葉を信じている。信じているということは、彼のことが好きなのだとはっきり悟った。
 創太の思いの変化までは分からず、フェリクスは創太のペニスを空気にさらすと、彼自身のペニスとこすり合わせてきた。手で触れて扱く感覚とは異なる快感に、創太は声を漏らす。
「いい?」
 その問いかけの真意を図りかねて、創太は、「気持ちいい」と言った。入れてもいいか、と聞かれていたら、安易に頷けないからだ。フェリクスは創太の言葉を聞くと、笑みを浮かべて、「気持ちいい?」と再度聞いてくる。
「うん」
「あ、あー、と、あいだ、間に入れる」
 うっすら汗をかいているフェリクスを見上げると、彼は必死に言葉を探していた。
「この間」
 フェリクスの手が太股へ触れた。
「足の間?」
「足。うん、そう。私は、創太の足の間に入れたい」
 キスの先にある行為を聞いていたが、そこに入れたいと言われなくてよかったと思った。創太が頷くと、フェリクスはベッドから下りて、創太に壁へ手をついて欲しいと言った。言われた通りにすると、腰を引っ張られ、尻を突き出す姿勢を取らされる。
「フェリクス」
 うしろを振り返ると、フェリクスが背後から抱き締めてきた。右手で彼自身のペニスを創太の股の間へ導いている。
「もう少し、足、閉じて」
 すでに先走りで股の間はぬるぬるとしていた。フェリクスの右手が創太のペニスを握る。彼のペニスは大きく、先走りの量も多い。足の間を流れる二人分の精液を見つめながら、創太はうしろで動く彼の動きに合わせた。彼の手が創太の中心をこすり上げる。
「っん、きもち、い、ぁ、アっ」
 声を漏らすと、フェリクスが興奮して英語で何かを口走った。大量の精液が創太の足の間を滑っていく。創太も彼の手に射精をしていた。彼は壁に手をついていた創太の体を振り向かせると、荒い呼吸のまま、何度も何度もキスをしてくる。
 最後に抱き締められた時、汗と混じったバクラの香りがした。創太はフェリクスの胸に頬を当てて目を閉じた。背中をなでられる。フェリクスは、「私の……」とささいた。早過ぎて聞き取りができず、目を開けて、「何て言った?」と聞いた。
 フェリクスは小さく笑い、彼の首から下げているオニキスを引っ張る。
「あなたは私の宝石、と言った」
 今から別れる時のことを考えるなんて、自分らしくない。創太はフェリクスの背中へ手を回す。きらきら光る宝石みたいに、今を楽しく過ごせば、いつか振り返った時もその輝きは失せないのではないかと思った。

39 41(志音×明史)

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