わかばのころ33 | ナノ





わかばのころ33

 布団に転がり、普段はあまりつけないテレビをつけてみた。潮はスナック菓子を時おり、思い出したように食べ、グラスに注がれている炭酸飲料を飲む。片手には携帯電話を握っていた。
「うーちゃん」
 若葉はころころと布団を転がり、仰向けの状態で潮を見た。彼は視線だけ動かす。
「何?」
 キスしたい、と言葉にするのはとても恥ずかしい。若葉が左腕の袖を引っ張ると、潮は若葉の首にある革紐を引っ張った。その先にはシルバーのリングピアスが見えている。
「気に入ったか?」
「うん!」
 潮が携帯電話へ視線を移す。
「誰にメールしてるの?」
 潮の背中へ乗り上げると、彼は、「ぐぇ」と短い声を出した。
「わーかーばー!」
 潮が左へ転がると、若葉も一緒に左へと押しやられる。目の前に潮の顔があった。彼は携帯電話を畳の上に置くと、若葉の額をぺちぺちと叩く。
「ったく、子どもっぽいなぁ、おまえは」
 若葉が小さく笑うと、潮は呆れた様子で小さく溜息をつく。そっと手を伸ばして、彼のくちびるへ触れた。そのままなでるように触れる。彼が目を閉じたから、若葉も目を閉じた。くちびるに触れていた手を握られる。軽く触れた後、もう一度、くちびる同士が重なる。
 潮は同じ好きを返してくれているのだろうか。若葉はキスを受けながら、彼の背中へ手を回した。クラスの女子の顔を思い浮かべても、誰一人として一緒にいたいと思う子はいなかった。それは男子でも同じで、ただ潮だけが特別だった。若葉は彼の特別になりたいと思う。
「っわ」
 体が密着してるため、潮はすぐに若葉の体の変化に気づいた。キスをやめた彼は体を離して起き上がる。
「若葉、おまえ……」
 面食らった潮の視線が若葉と同じく股間へと注がれていた。うしろめたい気持ちになり、くちびるを噛み締める。若葉は泣きそうだった。彼を見れば、まだ彼が若葉と同じ気持ちではないことくらい分かる。キスをする仲であっても、自分は彼の特別にはなれない。気持ち悪いと思われていたら、どうしよう。若葉は茫然としたまま、拳を握った。
「悪い。ふざけてキスなんかするもんじゃねぇな」
 気まずい雰囲気を壊そうと、潮が苦笑しながら言った。若葉が顔を上げると、涙が頬を滑る。
「俺は、ふざけてなんか……ちゃんと、うーちゃんのこと、好きだよ」
 だから、体が反応してしまう。若葉は手で股の間を押さえるようにして、熱の膨張を隠した。最初は手をつなぐだけでよかった。次はキスをして欲しいと思った。自分はいい子ではない。どんどん次を求めて、潮を困惑させている。
「うーちゃん」
 若葉は泣きながら、潮を見つめた。もし、自分が女の子だったなら、彼はすぐに彼女にしてくれただろうか。無意味なことを考えては打ち消していく。彼は何も言わない。若葉はこれで最後にしようと思った。彼へ手を伸ばし、寝巻き代わりのズボンを下ろす。
「若葉、何して……」
 ズボンを下ろされた潮はとっさのことで考えが追いつかないらしい。若葉は下着へ手をかけ、手で彼のペニスに触れた。

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