ひみつのひ番外編15 | ナノ





ひみつのひ 番外編15

「とりあえず日本の大学に行ってから、留学を考えたらどうかって、言われて。でも、どうしても行きたいって言ったら、まずは一年、頑張ってみるかって」
 自分のために努力している稔を見て、智章は胸がいっぱいになった。すぐに彼を感じたくて、体を横にして、耳元でささやく。
「稔、ありがとう」
 そう言いながら、稔のペニスを探った。
「ぃ、ひゃ、藤、ダメだよ、下に親っ、ん」
 かわいい声を出す稔へキスをしながら、「中には出さないから」と指先を彼の口元へ持っていく。彼は少しためらった後、その指を口へ含んだ。寮なら小道具を使って、彼をもっと追い詰めて楽しんでから射精させることができる。だが、たまには普通にセックスを楽しんでもいいか、と智章は彼の唾液で濡れた指先でアナルを探る。
 稔は下で寝ている両親を気にしているのか、くちびるを噛み、必死に声をこらえていた。そういうところがたまらなく愛しくて、ついつい意地悪をしてしまう。指先で彼の前立腺を刺激し、同時にペニスへ触れると、体が大きく動いた。
「ふ、ふじっ」
 とがめるような声は、あおっているようにしか思えない。智章は三本の指で執拗に稔の中を解した。声や顔を見ているだけでも、智章の中心は大きくなっていく。ペニスの先をアナルへあてがうと、稔は深い呼吸を繰り返した。何度もつなげてきた体が、いちばん受け入れやすいように動く。ぐっと中へ押し込み、顔を近づける。
 顔へのキスだけではなく、うなじや乳首へ噛みついた。そのたびに稔がこらえていた声を漏らす。
「っあ、や、もう、っア」
 智章は稔のペニスをわざと握った。
「っあ、ふじ、や、い、いかせてっ」
 稔の懇願に智章は彼の中を突く動きを速める。いきそうだと思った瞬間、腰を引いて彼の中からペニスを出した。ぱたぱたと彼の腹の上へ精液が落ちていく。彼自身のものもあり、腹の上から白濁した液体が流れ落ちそうになっていた。
 智章はティッシュできれいに拭い、まだ呼吸の荒い稔を抱き寄せる。体は汗ばんでいたが、部屋の中は寒いため、すぐに毛布と布団を引き上げた。
「稔」
 小さな鼻とくちびるへキスをすると、稔の手が智章の腰へ回った。
「これから先、誰に何を言われても、どんなことがあっても、俺のこと信じて。俺のそばにいて」
 智章は頬擦りするように稔の頬へ顔を近づける。
「……うん。そばにいる」
 自分を見ようともしなかった黒い瞳が、今は自分だけに向けられている。自分の正体を知ってもなお、彼はこれまでと変わらない。彼だからいい。
 智章は腕の中の存在を確認するように、もう一度抱き締めた。

 後日、智章は稔には内緒で彼の家を訪ねた。稔を公私ともにパートナーにしたいと考えていることを話し、正直に彼が欲しいと告げた。稔という人間が欲しいという智章の言葉に、彼の両親がどこまで理解したかは分からない。おそらく、自分達の本当の関係にはまだ気づいていないだろう。
 久々に緊張していた智章に、二人は快く頷いてくれた。少し拍子抜けした表情を見せると、彼の母親が教えてくれる。
「稔はいつも、あなたのことを支えたいって言ってたわ。だから、あの子が悩んだ末に出した結論なら、主人も私も応援しようと思ってるの」
「稔のこと、よろしくお願いします」
 二人から頭を下げられ、智章も頭を下げた。稔は友達としか話していないと言っていたのに、自分のことを支えたいと両親へ話していた。そのことが嬉しくて、ぎゅっと拳を握り締める。
 寮へ戻る道で、智章は大量のトマトを手に入れた。これを見た稔はどんな笑みを見せてくれるだろう。一つ手に取り、かぶりつく。酸っぱくて甘い味が口に広がると同時に、智章の胸に落ちた。

番外編14 番外編16(大学生の二人/稔視点)

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