ひみつのひ番外編7 | ナノ





ひみつのひ 番外編7

 智章は稔の背中へ胸を押しつけた。左手で稔の両手を拘束して、そのままベッドへ押さえ込み、腰を打ちつける。稔の手を取ったのは勝手にペニスを触らないようにするためだ。
「っア、ふ、ふじ、もういっ、アァ」
 稔はうしろだけでいけるようになったが、今はペニスにコックリングをはめているため、射精できない状態だった。智章は稔の中で締めつけられていく感覚に、より激しく腰を動かした。
「一緒にアメリカ来てくれるなら、コックリングを外してもいいよ」
 小さな頭がふるふると横に動く。強情だな、と思いながら、智章は自分の欲望を満たす。一度、コンドームを取り替えて、稔のことをひっくり返し、彼のペニスを扱いた。ベッドを汚すと面倒なので、稔にもコンドームを付けさせている。彼のペニスは腹につく勢いでたち上がり、智章が触ると、彼は泣いた。
 コックリングで締めつけられて射精できない辛さは、同じ男として痛いほどよく分かる。だが、智章はやめようとは思わない。
「一緒にいくって言って」
 コンドームの先、亀頭部分を指で擦る。稔が泣きながら、拘束された手で、智章の手を振り払おうとした。
「っあ、ア、やだ、いけな、む、ふじ、むりっ」
 智章は稔の手を押さえ、アナルへ自身を押し込んだ。彼の白い首筋がのけぞり、思わずそこへ噛みつく。そのまま押し倒して、中を擦るように突いた。何度も何度も彼を揺すり、アナルの締めつけに射精をする。彼はいけないが、智章は二度目の絶頂を味わった。
「稔」
 ペニスを勃起させたまま、稔は意識を飛ばしていた。ひどいことをしたと思うのに、涙の筋や半開きの口を見ていると、もっと泣かせて、自分だけを見て欲しいという願望がふくらむ。
 智章はコックリングを外し、稔のペニスをティッシュで拭った。手を洗い、少し狭いベッドで彼を抱き締めるようにして仰向けになる。祖父の教育は昔から徹底していた。父親も冷徹で強かな人間だが、祖父はそれ以上だ。その彼の期待を十八年の間、背負っている智章だが、いつも彼の期待以上を返してきたため、気に入られている。
 だが、そのせいで父親とはうまくいっていない。母親は藤グループの社長夫人として生きており、母性を求めることは誤りだと幼い頃から教えられた。智美は送迎付きで私立の女子校へ通っており、週末に会うことはあるが、昔ほど話をしなくなった。
 腕の中の温もりを抱く。小学校へ上がる前、毎日ベッドで抱き締めていたウサギのぬいぐるみを捨てられた。祖父の前で泣くと、頬を打たれた。みっともない、と言われた。
 智章は稔の髪に鼻を寄せる。彼だけは取り上げられたりしないよう、ちゃんとそばにいなければならない。寝返りを打つようにして、横向きになり、智章はその体をきつく胸に抱いた。
 最高学年になった今でも、稔が下級生達の一部から好かれていないことを智章は把握している。自分を慕うなら、自分の大事な人間も受け入れろ、と思うが、妬む感情が簡単なものではないということを智章は十分知っている。
 稔はどうして自分が、と思っているだろう。それは智章からすると、どうしても稔がいい、という言葉に変わる。彼といると家のことを意識せずに済んだ。彼は、「藤」と呼ぶが、誰よりも、「智章」個人を見てくれる。
 秀崇達以外で計算なく自分のそばにいるのは稔だけだ。保健室で手当してくれた時、うつむいて、眼鏡のフレームで見えなかった瞳が、今は自分を見上げている。高校を卒業しても、大学へ行っても、社会へ出ても、智章は彼を手放す気はない。

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