edge 番外編11 | ナノ





edge 番外編11

 シャワーを浴びた後、カウチソファに座り、バニラアイスを食べていると、バスローブを着た貴雄が隣へ来た。仕事の話はオフィスでするため、家の中まで持ちこまないが、一ヶ月前の出来事はまだ一弥の心に残っており、一弥は自分が空回り気味であることを自覚していた。貴雄はもちろん気づいているが、「ふぬけ」とはっきり罵る敬司と異なり、辛辣なことも言わなければ、甘言も吐かない。
 貴雄は何も言わずに、一弥をひざの上に乗せた。こめかみや髪にキスを受けながら、一弥は、彼は自分の甘やかし方を知っているのだと感じた。
「バニラの味がするな」
 くちびるにキスをして、口内を舌でまさぐった貴雄が、男らしい笑みを見せる。一弥はこたえずに、彼の胸に手を当てた。人差指を立てて、ゆっくりと下腹部へ滑らせ、ペニスへ触れる。しばらくキスを楽しんだ後、寝室のベッドへ運ばれた。一弥は窮屈になっている下着を自ら脱いだ。ジェルの詰まったチューブを片手に、貴雄がベッドへ上がる。
「何か、甘いにおいがする」
 チューブの先をアナルへ入れ、中身を出した貴雄が、パッケージを拾った。
「……ストロベリーの香り」
「うわ、何かおまえの趣味じゃないなっ、ん」
 指先を受け入れながら、少しでも負担を軽くしようと、体を少し浮かせた。のしかかるようにして顔を近づけた貴雄が、小さく笑う。
「山中がお楽しみ袋を二つ買って、一つはこっちへ寄越したんだ」
 山中からと聞いて、一弥は頷く。過去何度も彼からこういったものをもらっている。そのたびに、貴雄へ普通のものをもらえと注意していた。それなのに、お楽しみ袋をもらってくるとは、と一弥は拳を握り、怒りを伝えたかった。だが、力が入らない。先走りで異常に濡れているペニスに気づいた貴雄が、手で抜いてくれた。すぐにたち上がる下半身を見て、彼は嬉しそうに笑う。
 たいてい二度も三度も挑んでくる貴雄と異なり、一弥は一回すれば欲求を満たすことができる。
「知らなかったんだ、仕方ないだろう?」
 嘘つき、と罵りたかったが、一弥は快感を欲しており、つい貴雄のペニスを見つめた。彼は指でアナルを解した後、ペニスで中をかき回す。
「っあ、アア、ぅ、ん、あ、たか」
 最初にかき回された時、すでに射精していた。貴雄がつながったまま抱き上げて、上下が逆になる。深く擦られる感覚に声を上げると、貴雄が起き上がり、一弥はその肩へ顔を埋め、腕を背中へ回した。いく、と告げると、貴雄はより激しく揺さぶってくる。
 明日も仕事なのに、という恨み言をちゃんと伝えられたか分からない。気持ちよすぎて、記憶があいまいだった。暇があれば、週のうち何回かは仕事が終わってからジムへ通っている。悲しいことに、体力がついたためか、腰のだるさは残っても仕事を休まないといけないほど辛くはなかった。
 妙にさわやかな表情の貴雄を睨みつつ、朝礼の後、解散して自席へ戻る者達の中から山中を見つけた。
「山中さん、ちょっと」
 自分の個室へ招き入れ、扉を閉める。
「一弥君と密室とか、どきどきする」
「ふざけないでください。あと、あいつに変な物、渡さないでください」
 にやりと笑った山中が、「役立った?」と尋ねてくる。睨み返しても、彼は笑うばかりだ。
「あれ、俺なりの気づかい。思い悩んでるようだったから、溺れるくらいエッチしたら、ぱーっと忘れるんじゃないかって思ってさ」
 その思考は受け入れられないが、気づかいだと言われると、一弥は山中の思いを疎かにできない。
「まだまだ一弥君も甘いな。そこがいいところなんだけど」
 話は終わっていないのに、山中は勝手に扉を開けて出ていく。一弥は朝から大きな溜息をついた。

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