ふくいんのあしおと2 | ナノ





ふくいんのあしおと2

 近くのスーパーで買い物を済ませた和信は、敬也の帰宅する時刻に合わせてオムレツとツナサラダを作った。しばらくパソコンでゲームを楽しんでいると、「ただいま」という敬也の声が聞こえる。
「おかえり」
 玄関まで迎えには出ないが、顔だけ見せた。敬也がかすかに笑う。鞄を置いて、まずは洗面所へ入り、手洗いとうがいを済ませた後、彼は寝室へ入り、着替えてからリビングへやって来た。
「ご飯、作ってくれたんだな」
 軽く髪に触れられ、和信はパソコンを閉じて立ち上がる。
「うん」
 キッチンとリビングの間にある正方形の小さなテーブルの上に、ツナサラダとドレッシングを並べた。敬也が麦茶を取り出して、椅子へ腰を下ろす。まだ温かいオムレツとケチャップを渡して、白飯を茶碗へよそった。
「いただきます」
 敬也は大学卒業後、今の会社に就職した。通信会社の総務課で、主に外注する派遣会社とのやり取りや、毎月のように入ってくる派遣社員の教育研修をしている。恋人の自分から見ても、彼は真面目で優秀な人間だ。染めていない黒髪は清潔に整えられ、長い指先が丁寧にオムレツを割り、美しい所作で口へ運ばれていく。
 見惚れていると、敬也が手を止め、首を傾げた。
「どうかしたか?」
 和信は首を横に振る。
「何も。ちょっと見惚れただけ」
 正直に言うと、敬也は深い笑みを見せる。夕食後、和信はパーカーを羽織って玄関へ向かった。食後の一服のためだ。あと二日休みで、土曜からは遅番シフトが四連続ある。和信は高校卒業後もアルバイトをしていた。アルバイト仲間や夜遊びをする仲間のところに泊まり歩いていたが、その頃はまだ母親と暮らしていた。
 二十歳を超えてから、アルバイトだけでは暮らしていけないと気づき、派遣社員の仕事を転々とした。二年ほど前から今の会社に落ち着いている。一服を終えて、部屋へ戻ると、敬也がシャワーを浴びていた。洗い物をする気になれず、またパソコンを開いてゲームをする。
「和信、入れよ」
 パソコンを開いた状態で、和信は洗面所から浴室へ移動した。念のために自分でアナルを洗浄しておく。髪を乾かしてから、リビングへ戻ると、敬也がテレビを見ていた。
「このゲーム、面白いのか?」
 RPG仕立てのオンラインゲームは和信が昔からはまっているものだ。
「うん」
 隣に座ると、敬也が軽くキスをくれる。
「明日も休みだろ」
「明後日まで休み」
 キスを受けながら、うしろへ転がる。じゅうたんの上に落ちていたテレビのリモコンが頭に当たり、敬也が笑った。部屋着代わりの古びたTシャツをまくられ、乳首に吸いつかれる。彼の手が足の間をなぞるように動いた。和信も彼のペニスへ触れる。最初は布越しに、その大きさと熱を確認して、それから、服を脱がせ合った。
 敬也は自分とは正反対の性質だが、体の相性はとてもいい。初めてした時から、彼もそれを感じているようで、翌日に仕事があっても二度、三度と挑んでくることがある。
 潤滑ジェルと先走りで音を立てているアナルには、敬也のペニスが出入していた。彼が速度を変え、深さを変え、腰を動かすたび、和信は声を上げる。
「っああ、ん、あ、アっ」
 アナルを犯されるだけでは完全に射精できない和信は、自らの手でペニスを擦った。その手の上から敬也が手を重ねてくる。彼の手に感じてしまい、声を漏らすと、中が締まったのか、彼が荒い呼吸を繰り返しながら体を震わせた。少し遅れて、和信の手の間からも白濁した液体があふれる。
「次、うしろからな」
 コンドームを外して、ティッシュにくるんでゴミ箱へ投げ捨てた敬也が、テレビのリモコンをいじってチャンネルを変えた。和信もティッシュで腹の上の精液を拭う。呼吸が少し落ち着いたところで、彼に尻を向けると、彼が腰をつかんだ。

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