あおにしずむ25 | ナノ





あおにしずむ25

 ヤニックは慌てて立ち上がり、扉のほうへ向かおうとした。だが、立ち上がったところでティムに足首をつかまれて倒れる。両手をついたものの、転んだ衝撃は大きかった。ティムの手がジーンズを引きずり下ろす。
「やだ、ティム、お願いだから、やめ……っ」
 下着の上からペニスをつかまれて、ヤニックは押し黙る。心臓を握り潰されるような痛みを思い出して、体が震えた。ヤニックが大人しくなると、ティムは下着も下ろして、ジェルを塗りつけた細い張り型をアナルへ押し込む。細いとはいえ、アナルのほうは何の準備もされていない。
「ッアア、い、いたっ、や」
 四つ這いになっていたヤニックが頭を下げて、痛みに耐えていると、ウェインが髪をつかんだ。
「ほら、口、開け」
 涙を流しながら首を横に振ると、うしろでティムが張り型を押した。
「く、ア、やめっ」
「噛んだら、ここに蹴り入れるからな」
 ここ、とティムが触れたのはペニスだ。ヤニックは拳を握り、泣きながら、小さく口を開いた。他に選択肢があるなら、今すぐ提示して欲しい。ヤニックには夢だと思い込む以外、方法がなかった。
 小さく開いた口へ押し込むように、ウェインのペニスが侵入する。噛むな、と言われて、ただ口の中に入れただけでいると、彼はヤニックの後頭部を押さえ、腰を動かし始めた。口の中では塩辛い味が広がり、友達だった人間のペニスをしゃぶっているという事実に、ヤニックの心は打ちのめされた。
「っう、んぐ、んっ」
 自分の意思とは関係なく口内を蹂躙され、アナルはティムの手によって押し広げられている。涙とともに口からウェインの精液が垂れた。張り型が大きなサイズに変わる。ウェインがシャワールームのほうへ行くと、今度がパックがペニスを口の中へ入れた。途中から、張り型ではなく、ティムが彼のペニスを突っ込んでくる。意識を失うことができたなら、まだよかったかもしれないが、意識を失えるほどに強烈な痛みではなかった。
 ティムと入れ替わったウェインにアナルを犯された後、ヤニックはようやく解放された。アナルはじくじくと痛んでおり、ヤニックは放心状態になりながらも、自分で下着を上げる。口をゆすぎたい。ウェインが雑巾を顔に押し当てた。
「その床、掃除しとけ」
 床はヤニックの口から垂れた唾液や彼らの精液で汚れている。ヤニックは命令されるまま、雑巾を手に床を拭いた。拭いている間に、三人が帰っていく。
「明日もちゃんと来い」
 ティムがそう言って、扉を閉めた。みがいた床の上に涙が落ちる。雑巾を洗うために立ち上がり、ヤニックはそこで口をゆすいだ。心が考えることを拒否する。雑巾を絞った後、ヤニックは無表情のまま家路に着いた。
 初めてレイプされた日からずっと、まともな食事ができない。冬休み中に何とか回復していたが、それでも、以前と同じ食事はできなかった。今夜も冷蔵庫の中にあったプリンだけ食べた。目を閉じても眠れない。明日も行かないといけない。先ほど食べたプリンが胃から逆流してくる。
 便器に顔を突っ込みながら、ヤニックは泣いていた。学校に行きたくない。だが、進級はしたい。ティム達に会いたくない。だが、ロビーには会いたい。ベッドの中で目を閉じながら、ヤニックは朝がこないことを祈った。

 イースター休暇は毎年だいたい三月後半から四月初旬と決まっている。三月に入ってから、担当教師に呼び出されたヤニックは、真面目に出席しているが、このままだと落第すると言われていた。もともと成績が芳しくないため、見極めの試験をすると告げられた。教師の部屋を出て、顔を上げると、廊下を駆けていくロビーを見つけた。
 慌てた様子で、呼び止めることもできない。ヤニックは尻をかばうようにそろそろと歩いた。毎日ではないが、あれからティム達の相手をしている。逃げ場もなく、助けもない状態で、肉体的、精神的疲労はピークまできていたが、それでも、まだ進級できるかもしれない、という希望と時おり見かけるロビーだけが支えになっていた。
 ティム達によるいじめが変化したことに同学年の生徒達は気づいており、ヤニックは今まで話したこともない連中からも暴力を振るわれるようになっていた。ロッカールームで起こっていることまでは知られていないが、皆、ヤニックをゲイだとからかい、中傷していた。

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