あおにしずむ24 | ナノ





あおにしずむ24

 ウェインは吹き出す。
「そうだ。小学校の時から気に入らなかった。おまえってさ」
 ウェインはヤニックの髪をつかみ、そのまま壁へ頭を打ちつけた。鈍い音が響く。彼は髪をつかんだまま、続けた。
「まるで良心だけで生きてます、みたいな感じで、ちょっとでも自分の良心に反すると、うるさかったよな。ロビーのことでもそうだ。自分は悪いことはできないみたいな。ほんとはただ勇気がないだけのくせに。それなのに、ティムに気に入られてるからって、ずっと存在感、出しちゃって、ウザい」
 髪をつかんでいた手が首に移動する。ウェインは手に力を込めた。ヤニックは両手でその手をつかむ。
「っぐ、や、うぇい、ぅう」
 あまりにも強い力に、このまま本当に首を絞められて殺されるのではないと、ヤニックが泣き始めた時、ようやくティム達がやってきた。
「ウェイン」
 手が離れた瞬間、ヤニックはその場に座り込み、泣きながらせき込んだ。
「何してた?」
 ティムの声には非難が混じっている。ウェインは軽く笑った。
「何も。ちょっと生意気だから、思い知らせてやっただけ」
 座り込んで息を整えていると、ティムの手が腕を引っ張る。
「立て。ロッカールームに行くぞ」
 ヤニックは首を横に振って、立ち上がらなかった。
「嫌だ。行かない。もう嫌だ」
「おまえに拒否権があると思ってるのか?」
 ティムの言葉に怒気がこもる。反対側の手を引っ張られ、ヤニックはティムとウェインに引きずられた。
「待って、ちゃんと話したい、嫌なんだ、お願いだから、話を聞いて、お願いっ」
 教室からロッカールームまでは一直線だった。赤い扉が開いて、中へ押し込まれる。すぐに立ち上がって、外へ出ようとしたが、三人がふさいでいた。ヤニックはくちびるを噛み締める。
「話くらい、聞いてやる。言ってみろ」
 ティムがベンチへ腰かけた。他の二人も座る。ヤニックは恐怖から話を聞いて欲しいと言ったものの、実際には何を話せばいいかなんて分からなかった。三人の視線を受けていると、気分が悪くなってくる。場所のせいかもしれない。ヤニックは何度か瞬きを繰り返す。細切れの映像がまぶたの奥で再生された。
「何だよ、話があるなら、早く言え」
 ウェインに急かされ、ヤニックは嗚咽を漏らす。頭を抱えるように、その場にしゃがみ込んだ。暴力で支配された一週間前の出来事が脳裏の中で再生されている。
「ヤニック!」
 労わる声ではない。責めるように名前を呼ばれて、ヤニックは泣きながら顔を上げた。
「ごめ、ごめん、おれ、ただ、も、いやだ、ただ、なかよくなりたいだけで」
「はぁ?」
 顔を近づけたウェインがたどたどしい言葉をからかうように、大きな声を上げた。
「な、なかなおり、したい、なかなおり……」
 仲直り、という単語を耳にした三人が一斉に笑い出す。ヤニックは体中の血が指先からあふれて、冷たくなっていくような感覚に陥った。
「仲直り? 小学生か、俺達?」
 パックの言葉に続いて、ティムが言った。
「ケンカだったら、お互いに悪いけどな、おまえの場合はおまえが一方的に悪いんだ。仲直りもクソもない」
 ヤニックが視線を上げて、そのうるんだ瞳をさまよわせていると、ティムが大きく足を開く。彼は自分の手でゆっくりとチャックを下ろし、中からペニスを出した。
「許して欲しいなら、しゃぶれよ」
 ティムの真似をして、パックとウェインもペニスを出した。首を横に振ると、ティムがペニスをしまった。ウェイン達が驚いて、彼を見る。彼は袋をつかんで、ヤニックのうしろへ回った。
「ウェインのからしゃぶれ。拒絶した罰だ。アナルにも突っ込んでやる」

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