あおにしずむ21 | ナノ





あおにしずむ21

「ヤニック」
 ティムがヤニックのアナルを張り型で犯しながら名前を呼んだ。ヤニックが目を開くと、ティムは手を止めて、ヤニックの体をわざと仰向けにした。しびれていた腕が下になり、腰を上げる格好を取らされる。
 ティムが張り型をアナルから抜いた。コート代わりに着ている分厚い紫のパーカーはところどころが濡れていて、ずいぶん重たく感じる。次に何をされるのか分からず、肉体も精神も疲労している状態だった。
「ホモなんだろ?」
 問われた言葉の意味を理解するまで数十秒はかかった。新たな涙を流しながら、首を横に振る。そうかもしれない。だが、ロビーが言ってくれたように、まだ考える時間が必要だった。ティムは新しい張り型をアナルへ近づける。
「ホモだよな?」
 先ほどと同じやり方で脅されていた。ヤニックは震えながら、アナルへ押し込まれる張り型の大きさに目を閉じる。痛みからうめいて、体を動かしても、逃げることはできない。
「ぺニスで犯されたいんだろ?」
 首を横に振らなければ、と思うのに、ヤニックの弱い心は首を縦に振らせた。ウェインが馬鹿笑いして、「なーんだ、じゃあ、女の代わりにしてやる」と言った。
 張り型を抜いたティムが血のついたそれをヤニックに見せる。
「正直に認めないからこうなるんだ」
 ティムはチャックだけ下ろして、中からペニスを取り出すと、何度か彼自身の手で扱いた。コンドームをつけた後、ヤニックの体をうつ伏せにする。泣き続けているのに、涙はどんどんあふれた。ロビーとのキスを思い出す。あの瞬間に戻れたら、と考えた。だが、あの瞬間に戻ってどうするというのだろう。
 張り型よりは小ぶりだが、ティムのぺニスがアナルをこじ開けて入ってくる。目の前が真っ赤になった。痛くて泣いても、うなっても誰も助けてはくれない。
「きっついな……ムリだ。こっちが痛い」
 ティムの冷静な声が頭上で聞こえる。もう一度、張り型を突っ込まれた。何度も何度もアナルを押し開かれる。ティムのペニスを受け入れた時、体中の感覚がなくなっていた。ただ結合している部分だけが熱い。
 ティムの後にはウェインが控えていた。日が暮れるまでが早く、二人の相手を終えた時、ロッカールームの中は非常灯の明かりでしか見渡せない状態だった。
 ローションと血で汚れたシャワールームのタイルをティムが洗い流す。ずっと傍観者だったパックは下着とジーンズをヤニックに身につけさせた。涙と鼻水で汚れたガムテープが、ようやく外されても、ヤニックは一言も言葉が出てこない。
「ヤニック、おまえの中、女のよりよかったぜ。またいっぱい突っ込んでやるよ」
 座り込んでいたヤニックの前にしゃがんだウェインが、笑みを浮かべて言った。顔を背けようとすると、首をつかまれて後頭部を壁に当てられる。
「ありがとうございます、だろ?」
 ヤニックはウェインと視線を合わせることができなかった。彼の瞳には悪意がない。純粋にヤニックで楽しんでいる。それが怖くてたまらなかった。
 パックの瞳には苦渋の色がある。彼の苦しみは分かっている。彼はウェインほど残酷に人を傷つけられない。だが、自分の道を貫けるほど、彼は強くはない。
「俺は頼まれてもお断りだが、おまえが犯してほしいって言ったんだろ」
 ヤニックはパックの言葉に、新しい涙を流すことでしか対抗できなかった。そんな言葉は言っていない。ただ脅されて頷いただけだった。
 ティムのことは二人以上に怖いと感じた。彼ははっきりとした憎悪を持っている。最初はロビーに対してだと思っていた。だが、それは勘違いで、実際には自分に向けられていると思う。今も、礼を言わなかったから、とティムはヤニックの髪をつかんだ。
「ちゃんと言え。言うまで、帰さない」
 そう言って足をヤニックの股間へ当てる。ぶるぶると震えたヤニックにウェインが高い音を出して笑った。股間を蹴られる痛みは心臓をつかまれるような痛みだった。ヤニックは必死に口を動かして、「ありがとうございます」とたどたどしく、詰まりながら言った。

20 22

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