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「先にメシを食え」
 貴雄がそう言って、一弥の手からバニラアイスの入った袋を奪う。彼は冷凍庫へ袋ごと突っ込むと、テーブルの上に夕飯のおかずを並べた。
「今、食べたい気分なのに」
 一弥が険のある言い方をすると、貴雄は笑った。
「ガキみたいなこと言うな」
 仕方なく、貴雄の向かいに座り、用意されていた夕飯に手をつける。腹が減っていないわけではないため、一弥はいつもの量より少し多めに食べた。満腹になった後、食器を下げて片づける。デザートのバニラアイスはシャワーを浴びてからしか入りそうにない。
 一弥がシャワーを浴びようと下着と部屋着を取りにいき、リビングダイニングへ戻ると、貴雄が呼び止めた。
「一弥」
 面倒臭さを全面に押し出して振り返る。
「今夜はやるからな。自分で中、洗っとけよ」
 貴雄は言いながら頬を緩める。
「気持ち悪い」
 思ったことを口にしても、貴雄は笑っていた。他に罵る言葉を思いつけず、一弥は大きな音を立てて、浴室へ入る。ここ一週間はケガのせいもあり、貴雄が手を出すことはなかった。一弥はシャワーを浴びながら溜息をつく。
 自分でアナルへ指を入れて、中をきれいにする。貴雄にされるよりはましだと言い聞かせて、シャワーから流れる温水と指先をアナルへ当てた。
 半乾きの髪を指ですいた後、一弥はキッチンへ行き、冷凍庫を開けた。バニラアイスのカップを一つ取り出し、スプーンを持って、ソファへ座る。一口食べた後に、貴雄が髪へ触れた。彼はそのまま屈み込み、一弥の頬にキスを落とす。無視してバニラアイスを食べた。彼はもう一度キスした後、浴室へ向かった。

 昼寝をしてしまったせいか、一弥の体は疲れを見せず、結果、三度目を挑まれた後も意識がしっかりしている。一弥はうしろで背中をなでながら、腰を打ちつけてくる貴雄に多少うんざりしていた。
「おまえ、どっか他で抜いてきたら?」
 一弥は握り締めたシーツを見つめながら、うしろで腰を動かす貴雄に告げる。貴雄は笑いながら、一言ずつ区切り、一弥のアナルをペニスでうがった。
「おまえの、ここが、俺の、形を、覚えるように、協力してやってるんだ」
 一弥のペニスは先ほど貴雄の手で扱かれながら、精を吐き出しており、今は緩くたち上がった程度だ。自分が一度射精する間に複数回、精を出し、それでも勃起して挑んでくる貴雄が獣に思えて仕方ない。
 そういうことを考えながら受け入れて、セックスという行為じたいに溺れないように気をつけているものの、前立腺を擦られる瞬間だけは自我を失いそうになる感覚を覚えた。やはりまだ気持ちいいとまでは思えないが、そこを責められると圧迫感だけではない何か別の感覚がある。
 貴雄の手が一弥のペニスへ触れた。体を揺すられながら、同時にペニスをいじられる。前への刺激は前立腺を擦られるよりも顕著な快感をもたらす。その快感に体中が喜んでいるような気分に陥った。
 無意識に背を弓なりにそらせると、貴雄がうしろでうめく。中心に熱が集まるような感覚の後、一弥は二度目の絶頂を迎えた。そのすぐ後に貴雄も射精する。ずるずると枕の下へ手を入れて、四つ這いの姿勢からベッドへうつ伏せた。
 部屋の中の温度が上昇しているように感じる。シーツへ頬を押しつけていると、貴雄の大きな手が臀部から背中をなでた。背中をなでられるのは嫌ではない。子どもの頃に誰もが経験したように、一弥にも親から背中をとんとんとあやされた記憶がある。それはずいぶん長い間、得られなかったものであり、二十五歳という年齢に達している自分から、それが欲しいと言えるものでもなかった。
 大きく呼吸を繰り返しながら、心地よさに目を閉じていると、眠っていると勘違いしたのか、貴雄が毛布を引き上げてかけてくれる。彼の指先が頬から髪へ移り、ベッドの軋んだ音の後に左のまぶたへくちびるを当てられた。
「……ヤバイな。引きずり込んでやろうと思ったが、俺のほうがはまってる」
 貴雄の声音には自嘲が含まれていた。一弥は物騒なことを言うな、とけん制したかったが、彼の手がまた背中をなで始めており、その心地よさにそのまま眠ってしまった。

20 22

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