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edge14

 変な気分だった。一弥が身をよじらせると、貴雄の手は乳首からペニスへ移動した。ほんの少し熱を持っただけの一弥のペニスは、彼の手が扱き始めると、一気に大きくなる。彼はそのまま手を動かし、アナルへも指を入れて、一弥の熱を解放した。
 このまま眠れたら最高だと思ったが、これで終わるわけがなく、貴雄の指がアナルを蹂躙する。
「ア、っ、んぁ、アア」
 声をこらえたいと思っても、アルコールのせいで開放的になっているせいか、自然と漏れる。手の拘束具はほとんど意味をなさなかった。貴雄は一弥の声を楽しむようにしばらくの間、指でアナルを犯した。
「も、ぁ、ア、もう、や……」
「もう? これからだぞ」
 貴雄は笑うと、指を抜いて、自身のペニスへコンドームを被せる。
「まだバックからのほうがいいか」
 独り言を吐いた貴雄が、一弥の体を回転させた。
「ひざを立てて、ケツを上げろ」
 一弥はひざを立てたが、腰の力が入らない。貴雄の熱い手が腰をつかんだ。ぐっと侵入してくる熱を持ったペニスを、一弥は受け入れるしかない。なるべく息を止めず、体に力を入れない。一弥が意識しなくても、一弥の体が学んでいた。
 貴雄が腰を動かし始めると、快感とまではいかないが、むずむずした感覚が消えるのを感じた。
「ア、ぁあ……ん、い、ア」
 シーツに頬を押しつけながら、一弥は貴雄の背中にある唐獅子牡丹を思い出した。赤い牡丹がきれいに浮かび上がる。突かれるたびに、その赤が咲いては散っていくさまを連想した。
 ベッドが揺れる衝撃にうっすら目を開くと、隣に貴雄が寝転んでいた。彼は天井を見上げながら、早い呼吸を繰り返している。やっと終わったのか、と一弥が少し体を動かすと、彼が視線をこちらへ向けた。
 貴雄は左肘をつくと、一弥のくちびるに触れるだけのキスをする。目を開くと、親指の腹で頬をなでられた。一弥は尿意を感じていたが、下半身の感覚はない。立ち上がることすら面倒に思えて目を閉じる。
 貴雄の手は頬から頭へ移っていた。髪をいじられ、しばらくすると、肩まで薄い毛布をかけられた。たかが毛布をかけてもらえたくらいで、一弥は誰かがそばにいるということの安堵を覚えた。

 目が覚めた時、貴雄の姿はなく、一弥は昨日の朝と同じようにだるい腰を擦りながら浴室へ向かった。これまでと異なるのは着る服も食べる物もあるということだ。シャワーを浴びた後、リビングダイニングに立つと、すぐに新しくなったガラステーブルが目に入った。
 フローリングの床に飛び散っていたガラス破片も片づけられている。時計を見ると昼過ぎだった。おそらく業者は午前中に来たのだろう。一弥はまったく気づかなかった。ガラステーブルの上には一弥の吸っている煙草がワンカートン置いてある。
 封を開けて、煙草を吸いながら、何か腹へ入れようと冷蔵庫を開ける。昨日飲んだビールが並んでいた。昨夜の出来事や考えたことを思い出し、自分は貴雄にほだされているのではないかと疑う。流されるままに生きてきた気はするものの、今は流されてはいけない時だということははっきりしていた。
 炊飯器くらいあればいいのに、と一弥はパックに入った白飯を電子レンジで温めながら思った。冷蔵庫には、昨日はなかった新しい惣菜があった。これも午前中に誰かが買ってきて入れたのだろう。
 一弥は適当にポテトサラダとミートボールを選んで、昼食をとった。その後、寝室へ戻り、ダンボール箱の中を確認する。一人暮らしだったため、物は多くない。自分の部屋に存在していた物を、この部屋に配置するのか、しないのか、一弥は思案に暮れた。
 結局、衣類だけはクローゼットに入れた。休憩するほど動いたわけではないが、L字型のカウチソファに寝転んで、煙草の火をつける。今夜も貴雄の相手をしないといけないのだろうか。そのことを考えると気分が沈んだ。
 自分の体の変化もそうだが、意識も変わってきていることを自覚している分、泥沼にはまったような感覚になる。たとえば、今夜も相手をしなければならないなら、一弥は確実に自分でアナルの洗浄をするだろう。そして、それは彼に抱かれることを受け入れるということに他ならない。

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