エウロパのうみ23/i | ナノ


エウロパのうみ23/i

 車が停止した後、時和は左腕に痛みを感じた。それは一瞬のことだったが、その後すぐに体が熱くなった。
「ぅう、ン、ぅぐっ」
 拘束されたままの状態で、時和は車から降ろされ、スプリングの壊れたベッドのような音を立てる台の上へ押し倒された。
「目隠しだけ外して」
 一人の指示により、時和の視界が明るくなる。時和は周囲を見る余裕もなく、火照る体と自身の奥でうずく熱にマットレスへ体を埋めた。逃げなくては、と理解していても、コートの下に着込んでいる衣服すらうっとうしく感じる。
「ほんと即効性だな」
 仰向けにされ、ナイフを手にした男を見た。見に覚えのない男だった。どうして、という疑問を口にできず、男の動かすナイフが衣服を裂いていく様子に目を閉じる。たち上がっているペニスへ息を吹きかけられ、時和は身をすくませた。
 ナイフを持っていた男が、ローションを細身の張り型に垂らし、慣らしていないアナルへ押し込んでくる。タオルによって悲鳴が響くことはなかったが、時和の瞳から大粒の涙があふれた。引き裂かれるような痛みを感じているのに、ペニスは勃起したままで、男が何度か張り型を動かすと、呆気ないほど簡単に射精した。
 明達と初めてした時、時和は出血し、痛みも覚えた。だが、あの行為とはまったく違う。一方的な力で支配され、強制的に感じるようにさせられた体は、時和の感情に構うことなく、喜びを得ていた。
 二回目の射精は一回目の射精より、長く深い快感をもたらした。ペニスを軽く握られた時和は、自ら腰を動かし、少しでも快感を得ようとした。別の男がナイフで手と足の拘束を外し、タオルを当てて巻かれていたガムテープも切った。
 時和の口から漏れたのは、助けを求める言葉ではない。誘うような吐息と嬌声だった。慌てて自由になった手で口を押さえても、片方の手が無意識のうちにペニスを擦る。男達の冷やかす声で、時和は自らの性器から手を離し、うつむいた。
「自分で足開いて、オナニーしろ」
 快感を求める欲望を抑え込み、時和は拳を握った。コンドームを交換した男が、張り型を持って、アナルを責めてくる。
「ッア、ァア、や、ン、ぅ、あっ……」
 気持ちよくて理性が飛びそうだった。時和が自分の手で擦ろうとすると、男が腕をつかみ、マットレスへ縫いつけるようにして押さえ込んだ。前立腺だけを刺激され、ペニスは熱を帯び、硬くなる。もうすぐいける、と思った瞬間、アナルから張り型が抜かれた。
 何で、と口にして、張り型を持った男を見つめる。目の前で弾けそうな欲のことしか考えられなかった。もどかしさをどうにかしたくて、時和はいきそうになると、責めをやめる男達にすがる。
「いきたいなら、ちゃんと誘えよ」
 男に耳元でささやかれ、時和は足を開いた。右手でペニスを擦り、「いきたい」と口にする。突っ込まれたいのか、と聞かれ、頷いた。言葉にしろ、と命令されるままに口を動かす。
 男のペニスは張り型とは比べられないほど、温かく、時和を満たした。自分の腹に精液を垂らしながら、時和は嬌声を上げる。赤い点が視界に入ったが、今この瞬間はそれが何か考えたくはなかった。



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