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 エクは左腕を下にして、浅い眠りに落ちていたが、足音を聞いて、目を開く。腕はすっかりしびれていた。覚醒すると途端に尿意をもよおす。だが、うしろ手に縛られたままの腕は自由が利かず、エクは隅のほうへ座り直した。
 足音を聞き、くちびるを噛み締める。足音が複数の時は湯浴みすらさせてもらえず、このまま地下で犯される場合が多い。消えかかっている炎の揺らめきを見つめ、エクは気を失っていたいと切望した。
「……い、……て」
 話し声とともに駆けて来るような足音へ変わる。明るい炎に照らされ、「こっちだ」と大きな声が地下へ響いた。皇帝付きの守衛達だと、一目で分かった。エクがまぶしさに目をしばたたいていると、鍵を持った守衛が格子の扉を開ける。
「何人いる?」
 奥へと進んだ守衛達は、ほかの性奴隷を確認する。エクはまだ座ったままだったが、腕の拘束を解かれた。
「立て」
 上腕をつかまれ、引きずられるようにして牢から出される。ひどい臭いだ、と顔をしかめた守衛の一人が、エクの前に炎をかざす。
「まぁ、これなら、やってもいいが」
 エクを囲んでいた守衛達がその言葉に笑った。エクはうつむき、その嘲りを見ないようにしする。抜いてやろう、と伸ばされた手に身を引いた瞬間、守衛達が背筋を伸ばした。
「どうだ?」
 凛々しい声とともに、タミームが姿を現す。エクは彼を見て、すぐに頭を下げた。
「三人いました」
「二の宮に医者を集めた。歩けぬ者は私の馬車に乗せて構わない。早く休ませてやれ」
 命令に返事をした守衛達が動き出す。エクは自分の尿道へ突き刺された茎を抜こうとした手から逃れ、奥へと走った。サルマから聞かされていた立派な皇帝の前で、粗相など許されるはずがないと思ったからだ。
 だが、守衛達は茎を抜かせなかったエクのうしろ姿に、下品な笑みを見せた。暗がりで茎を抜くと、エクの意思とは無関係に排尿が始まる。エクは同時にどうしようもない絶頂に陥り、その場へ座り込んだ。ペニスを押し込めている筒も外そうとしたが、指先が震えてうまくいかない。
「おい」
 追いかけてきた守衛達が、座り込んでいるエクを立たせた。
「一人で遊ぶなよ」
 うしろから壁へ押しつけられ、エクは体を強張らせる。誰がどんなことをしても拒否をするな、と徹底的に教えられてきた。目を閉じて、それが早く終わることを祈るだけだ。押さえつけられ、体が動くたび、アナルとその奥が痛んだが、ここへ皇帝や守衛達が姿を現した理由も考えず、エクは目を閉じてやり過ごした。

 エクは裸のまま外へ出された。まぶしさに目を押さえる。守衛の一人に促され、前へと進んだ。
「予備の毛布はどうした?」
 タミームの声に守衛達が慌しく動く。
「もうありません」
 エクの前に立ったタミームは、自らの外套を外し、エクの体へ被せる。
「この子は重傷だ。その馬へ乗せて、先に二の宮まで送れ。ハキームに任せるのがいいだろう」
 ハキームの名を聞き、エクは当然、彼の元にいるイハブのことを考えた。前で閉じられた上等な外套をつかむ。
「おい、もたつくな」
 タミームは馬をすすめられても、歩いていくと言い張り、すでに前方へと移動していた。守衛は動きの緩慢なエクをうしろから小突く。馬に乗るのは初めてで、その高さに恐怖を感じた。だが、ためらっている暇はない。落ちないよう必死に馬のたてがみをつかんだ。

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