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 ザファルは二度の吐精後、丸みを帯びた木製の棒をエクのアナルへ押し込んだ。先端にかゆみを帯びる軟膏をつけた棒は、エクの苦しみを最大限にまで増幅させる。動かさないほうがいいのか、と問われ、エクは何度も頷いたが、やがてかゆみが浸透すると、今度は自ら腰を動かした。
「う、っむ……ウ」
 手首と足首に食い込む縄が肌を摩擦する。エクは涙目でザファルと男を見た。何かを要求できる立場ではない。ただかゆみだけが増し、やがてエクは幼子のように嗚咽を上げた。頭の中を赤く染められていくような感覚だった。気を失いたいと願っても、それは許されず、必死に体を動かす自分を見つめる瞳にさらされている。
 鋼鉄製の筒の中で、ゆっくりと熱を持ったペニスが痛みを訴え始めた。だが、エクにはどうしようもない。男が軟膏をすくい、体を揺らすエクの乳首へつけた。
「ッウ、ぐ、ん、ッン」
 首を振って拒否したが、もう遅い。ザファルは落ちそうになっていた棒をもう一度、アナルへ押し込み、牢獄を去っていく。このままの状態で放置されたら、と考えている余裕などなかった。
 誰かのすすり泣く声は聞こえない。自分の放つ嗚咽にかき消されていた。体を動かすことでアナルの中の棒も動いたが、棒が動くと前に溜まる熱が痛みを引き起こした。だが、動かずにいることはできない。筒の先端から糸を引くように垂れた精液に気づくことなく、エクは体をのけぞらせ、いつ終わるのか分からない仕打ちに耐えた。

 抑え込んだまま絶頂を味合わせ、それをさらに制限したザファルの調教は、何も知らなかったエクに恐怖を与えた。最初の仕打ちだけで、エクは萎縮し、どうしたら筒を外してもらえるのか、ということしか考えられなくなっていた。
 鋼鉄製の筒は水浴びの時だけ外される。だが、その前に冷水をかけられ、勝手にいかないように、とすぐに縄が巻かれた。
「そこへ仰向けになれ」
 ザファルの命令に、エクは細長い台の上へ仰向けになる。簡単に削っただけの角材の上へ寝転んだようなものだ。エクは背中の痛みに顔をしかめたが、傾斜のつけられた台の意味が分かり、下から見上げる主人の表情に嗜虐心が光るのを見て嘆いた。上半身は弧を描くように下がり、ザファルのペニスをくわえるのにちょうどいい高さになっている。
 ザファルの手が筒の先へ触れた。敏感になっているそこは、ほんの少し触れられるだけで、蜜を垂らす。
「っあ」
 声を漏らすと、ザファルは硬くなっているペニスでエクの口を攻めた。エクの視界には入らないが、ザファルは亀頭を擦りながら、赤くなっている乳首をつまんだ。刺激に歯を立てそうになったエクの喉へ、彼はペニスを押し込み、乳首をつまむ指先へ力を込める。
「ウウっ、ん、ン」
 白い喉が上下するのを見下し、ザファルは己の支配欲を満たす。エクは喉の奥で吐き出される精液を飲み込んだ。飲み込まなければ、ひどい仕置きが待っていると分かっているからだ。
 身も心も引き裂かれていた。エクのペニスは解放されないまま、何度も絶頂へ押しやられ、気を失い、目覚めると、自分では触れないように先端にふたがつけられていた。蝋燭の炎を頼りに、碗に入った水を飲み、エクは体を横たえる。
 すすり泣いているのは自分だった。
「……サルマ様」
 一緒に花を摘んだ午後の光景がよみがえる。読み書きを教えながら、いつか役に立つと笑った彼女の笑みは優しく、摘んだ花よりも美しかった。そして、彼女はエクの母親を連想させた。故郷に帰りたい、という思いが募る。
 その思いを留めていた理由を思い出し、エクは彼の名前をささやいた。
「イハブ様」
 感情をあまり表に出さないイハブの内にも、そのかげりの原因となった激しい何かがあることを、エクはそれと知らぬまま感じ取っていた。

20 22

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