meteor26/i | ナノ


meteor26/i

 トーマスもまた自分の行く道に迷ったことがある。その時、アランは由貴に言ったような言葉で弟に助言をしたそうだ。
 好きなことをしたいなら、後悔しないように、誰のせいにもできないように、自分の力でやり遂げろ。
 両親に頼めば、すぐに出してくれるであろう資金を、トーマスは自分で貯めている。
「環境科学部に決めたのって、やっぱりアランの影響?」
 由貴はグラスを二つ用意して、テーブルの上にあったアップルジュースを注いだ。トーマスが礼を言い、一口飲んで尋ねる。
「うん」
 頬が赤くなっていくのを感じて、由貴はうつむく。
「そっか」
 トーマスはそれだけ言うと、残りのアップルジュースを飲み干して、リビングを出ていく。
「トーマス」
 その後ろ姿に声をかけると、トーマスが振り返った。
「何?」
 由貴は無意識に構える。トーマスは自分たちの関係に勘づいている。彼に偏見はないだろうか。特に受ける側である自分の立場に先入観を持っていないだろうか。
 思わず視線をそらしたその先で、トーマスは由貴の不安を拭い去るように言った。
「知ってる? アランって魚介類、苦手なんだよ」
「え?」
「寝つきが悪いから、自分の寝室には今まで誰一人、入れたことない」
「え……」
 背を向けていたトーマスが振り返る。由貴の驚いた表情に、彼は小さく笑った。
「ヨシ、兄貴のこと、よろしくな」
 トーマスは由貴が頷くと、満足そうに自分の部屋へと入っていった。由貴も嫌われたくない人から、嫌われていないと知って安堵する。
 それにしても、もしトーマスが言ったことが本当なら……と、由貴は柄にもなく相当、自惚れたことを考えた。

 雑草抜きをした時に、少し肌を焼いたらしい。赤くなった肌を見て、アランが眉をひそめた。
「八月に庭仕事なんかしなくていい」
 アランはそう言って、由貴の赤い粒を口に含む。
「ここはもっと赤くなってもいいな」
 由貴がくすぐったいと身をよじると、アランはその舌で執拗に追いかけてくる。由貴が隙をついて背中を向けると、彼は小さく笑う。後ろから腰をつかまれ、長い指先が由貴のペニスをいじり始める。
「っあ、やぁ、あ、あ……」
 アランの親指の腹が、由貴のもっとも敏感な部分を擦る。由貴は先走りをこぼしながら、アナルへの愛撫を期待して腰を軽く動かす。心だけではなく、体がアランを欲していると分かる。
「アラ、ンっ。きて、もう、いれてっ」
 由貴は頼んでも聞き入れられないと分かっていたが、焦らされるのが辛くて請うた。彼はいつも由貴への負担を考えて、まずは濡らしてからでなければ挿入しない。
「まだだ」
 アランは白い背中を眺めてから、その肩にそっと噛みつく。
「ヨシタカ」
 アランが由貴の背筋に指先を滑らせる。由貴は我慢できない、と首を小さく横に振った。
「っは、やく……」
 休んでいた由貴のペニスへの愛撫を再開して、アランはその希望に答える。
「ちがっ、きて! もう、いれてっ!」
 だが、アランは一度、由貴を絶頂へ連れていく。手の中に広がる温かい精液を、そのまま由貴のアナルへと塗りつけた。
 アランは、由貴の細い腰をしっかりとつかんだ。由貴はようやく感じることができた彼の熱に安堵する。気が狂いそうになるほど、由貴はその熱を待ち焦がれた。
「っあぁ!」
 アランのペニスが奥まで入ると、由貴はその動きに合わせて、激しく腰を振る。
壊れてしまえばいい、とその瞬間は本当にそう思う。突かれるたびに、全身に鳥肌が立つくらい、由貴はこの激しさが気に入っていた。


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