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 アランはさっきまで笑っていたが、今は真剣な面持ちで由貴を見返している。
「クリスは元恋人だ」
 由貴は頷く。
「二年くらい、かな。その後も、ずるずる体の関係は続いてたんだ」
 由貴は拳を握り締める。
「……最近まで?」
「いや、仕事の関係でここへ来ることはあるが、もうベッド上での付き合いはない。あいつにも恋人がいて、俺はもう全然、相手にもされてない」
 アランは苦笑する。彼は客室の中に入り、ぐるりと室内を見渡した。
「月曜に会ったら、鍵は返してもらう。この部屋の私物も引き取ってもらうから。嫌な思いさせて、悪かったな。ごめん」
 由貴はアランのほうへ歩く。彼の前で立ち止まり、手を伸ばして彼の頬に触れた。
「僕も愛してる。星を見せてくれたあの日から、ずっとずっと好きだった……」
 思いを口にした瞬間、アランががばっと抱き締めてくれる。由貴はその腕の中でたくさんのキスを受ける。
 いつの間にか、頭痛は消えていた。由貴はアランの肩に手を置いて、微笑む。だが、先に誘ったのはアランだった。
「今すぐおまえの中に入れたい」
 その言葉はダイレクトに由貴の欲情を刺激する。腹に当たるアランの熱に、由貴の熱も呼応する。
「うん。僕もすぐに欲しい」
 由貴はアランに抱えられ、寝室のベッドの上に下ろされる。服を脱ぐのも面倒で、由貴は彼から与えられる愛撫だけを感じていたいと思う。
 アランは素早く服と下着を脱ぎ捨て、由貴の体を貪った。彼は服を奪い取り、髪から爪先まで、由貴を形作るすべてにキスをする。
 由貴はその行為に愛しさを感じながらも、すぐにアランの熱を受け入れたいと願った。愛撫されればされるほど、焦らされているようで切ない。
 気持ちを読んだかのように、アランが由貴のペニスを舐めた。その刺激は愛撫以上に強く、由貴は彼の髪を軽くつかむ。
「ヨシタカ」
 由貴にもアランの気持ちは分かっている。このまま中を濡らしもせずに、アランのペニスを受け入れるのは辛い。だから、彼は先に由貴を達かせて、その精液で中を濡らそうと考えているのだろう。
 だが、由貴はペニスへの愛撫ではなく、アランを直接感じられる行為がしたかった。仰向けの体勢から起き上がり、由貴は自分の指を舐める。たっぷりと唾液を指に絡ませ、自らのアナルへと指先を埋めていく。
「アっ」
 中指を入れて、少し抜き差しした後、思い切って人差し指も入れた。自慰行為を好きな人に見られているという恥ずかしさで、由貴は余計に興奮する。
 由貴を見つめていたアランは、由貴の腕をつかんで、押し倒す。
「バカ。そんな目で見るな」
 言葉とは裏腹に、ヘーゼルナッツ色の瞳は優しい。
「ァアっ! あっ、あぁ……いっ」
 アランのペニスを受け入れた由貴の視界が、次第に滲んでいく。
「痛いのか?」
 心配する声に由貴は頭を振る。
「幸せだから」
 小さな声だったが、アランにはしっかりと聞こえたようだ。由貴の中の彼がさらに大きくなる。
「いっぱいして。僕もあなた以外、もう何もいらない」
 ぎゅっと手を握ってきたアランに、由貴は微笑み返す。激しい律動に答えようと、由貴も腰を振る。一度目の絶頂はすぐだった。
 呼吸を整えることなく、アランが動き始める。揺れる視界の向こうにいる彼に、愛していると伝えると、彼も同じ言葉を返してくる。
「アラン、っあぁ、ひ、あぁ、も、でるっ」


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