meteor16/i | ナノ


meteor16/i

 付け加えた言葉に、力強い指先が由貴の顎をつかむ。歯列を割って入ってくるアランの舌は熱く、息が乱れるほど激しく、口内を犯される。口の端から流れる唾液が、自分のものか彼のものか分からない。それを拭う暇もなく、彼が部屋へと誘う。
 およそ室内の装飾とはほど遠い行為に、由貴は興奮する。レモン色の壁は今や濃いハチミツ色にしか見えず、蜜をおいしそうに吸い上げるアランに目をやれば、震えがくるほど快感に追われる。
「っアラン! もう、もう、やめてっ」
 もちろんそれは言葉にしているだけで、心はそれ以上を望んでいる。由貴はアランの柔らかな髪をつかみ、彼のテクニックに喜びを見出している。
 深く咥えられた由貴は、アランの喉奥の熱を感じた。彼が頭を引くと、その歯を由貴の先端に立てる。
「ァア、い、やめっ」
 その髪をつかんでも、アランはまた最奥まで咥え込み、吸い上げるように由貴を愛撫する。その舌が先端をこじ開けるように舐めた時、由貴は我慢できずに射精した。
 アランはその精液を手に、乱れた呼吸の由貴を休ませることなく支配する。
「仰向けでいいのか?」
 由貴は答えることなく、自らの手で体を支え、腰を少し浮かせた。アランが由貴のアナルへ精液を絡ませた指を侵入させる。
「上も脱げ」
 赤いチェックのシャツを脱ぐと、由貴はアランの着ているシャツも奪う。均整の取れた大胸筋と腹筋が露わになり、それだけで由貴は内側の熱を高める。
「バカ。そんなに締めつけるな」
 罵倒する言葉に含まれる親密さに、由貴は微かに笑う。
「早く来て」
 アランの瞳がもう一度罵倒する。だが、彼は笑った。笑って、彼の欲情そのものを突きつける。
「っぁあ!」
 アランの指先が由貴の右乳首をつまんだ。
「ふっ、ぅう……」
 最初の挿入だけは、いつも小さな痛みを感じる。由貴のさまよう左手をアランが握り返す。
「力を抜け」
 耳元でささやいた後、アランが耳朶を噛む。由貴は一筋の涙をこぼした。
「っく」
 アランの声が漏れる。由貴は一度目を閉じた。いつもと違う。彼が動き始めると、彼のペニスの熱を直に感じる。由貴は一緒に動きながら、彼の背中に手を回して頼んだ。
「おねがっ、このまま、このまま出してっ」
 ヘーゼルナッツ色の瞳は一層濃くなり、アランが由貴の左頬に音を立ててキスを落とす。
 そのまま脇の下から抱えられ、彼のペニスで穿つように落とされた。落とされたのに、由貴の快感は上へと突き抜ける。
「ァアッ! いく、いくっ!」
 こらえるように唾を飲み込んだ瞬間、アランが噛むようにキスをした。どくどくと音を立てているのは心臓なのか、穿たれている自分の中に放たれた彼の精液なのか、分からない。
 その快感に浸る暇もなく、彼は由貴の体をうつ伏せにする。衰えを知らない彼のペニスが後ろから由貴を犯す。
「ヨシタカ」
 確かめるように呼ばれ、由貴が振り返ると、アランが微笑んだ。答えるように微笑むと、由貴の中にある彼のペニスが膨張する。彼の指先が背筋を優しく撫でた。そして、優しく撫でたその手の平で今度は尻を強く叩く。
「っあ、ァア!」
 じんとする痛みとは別の心地良さが沸き起こる。由貴は自ら尻を突き出して、もっと叩いて欲しいと合図する。
 満たされる。
 由貴は、窒息寸前の金魚をまた水の中に戻したことがある。きっと金魚は自分のことを神様だと思ったに違いない。
 由貴に覆い被さる彼もまた神様のようだ。眩しいくらいに綺麗で、戸惑うくらいに優しくて、そして、残酷な彼。


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