edge26/i | ナノ


edge26/i

 施錠されているため、扉が開くことはない。一弥は扉から少し離れた場所へ座った。アナルの傷が痛む。壁際に寄り、背中をあずけて楽な姿勢をとる。熱っぽいがひどく腹が減っていた。
 自分がどこにいるのか分からない。それでも、一弥は貴雄が助けにくると信じていた。彼が画策したことではないだろうが、こういう事態に陥っても、一弥には助けにきてくれそうな友人も知人もおらず、必然的に頼れるのは貴雄だけということになる。彼が言った通り、一弥にすべてを与えられるのは彼しかいなかった。
 体力を温存しようと、目を閉じていると、扉が開く。入ってきたのは私服の男だった。男は一弥が起きていると分かると、何の説明もなく、拘束している鎖を外す。部屋の外へ出ることができたが、別の男達がいた。
 両脇から抱えられるようにして、歩かされる。通路には一弥がいたような部屋がいくつも並んでいるようだ。階段を上がると、大きな扉がゆっくりと開き、その奥にはまた扉があった。
 奥の扉の先へ進むと泣き声や悲鳴が耳に入ってくる。個室の続く道の先はステージの裾のようだった。一弥はステージ上ではりつけにされた青年の姿に体を強張らせた。彼の周囲には男達が群がっている。
 青年はぐったりとしており、足元には血溜まりができている。男達は自らのペニスではなく、グロテスクなおもちゃや一弥が見たこともない道具で責め立てている。
「次はおまえだ」
 一弥は右足をうしろへ振り上げて、右側を拘束する男の手から逃れようとした。男は一瞬よろめいたが、左側にいた男が一弥の体を壁へぶつける。
「まだそこまで元気なら大丈夫だ」
 男は顔ではなく腹へ拳を入れた。苦しくて涙があふれる。
「志村さんからは何も説明しなくてもいいって言われたが、教えてやる。おまえはここでは最低ランクのDだ。Dはな、致命傷を与える行為以外は何でもしていい。おまえはこれからあのステージで競りにかけられて、一晩に何十人もの欲望を満たすんだ。それがおまえの仕事だ」
 いつの間にかステージにいた青年の姿が消え、血溜まりも掃除された。一弥を紹介するアナウンスが入る。一弥は必死に足を踏ん張った。だが、男達の手によって引きずられ、クロス型のはりつけ台に手を拘束された。
「そいつは足癖も悪い」
 男が言うと、別の男が足も拘束してしまう。一弥はまばゆいライトで照らされていた。ライトがまぶしくて、客席の人間の顔まで見えない。一弥はその闇の中に貴雄がいたらいいのに、と思った。
 アナウンスをする男の声が、殴られて腫れてしまった一弥の容姿をなじる。だが、しゃぶるのは好きだととんでもない言葉を続けた。一弥を拘束しているクロス型のはりつけ台が倒され、仰向けになった状態で大きな男性器に模したおもちゃを口へ突っ込まれた。
 一弥はぎゅっと目を閉じる。客席から響くざわめきと、ステージが作り出す淫らな空気を感じた。どういうシステムで競りが行われているのか分からないが、しばらくすると、男達がステージへ上がってきた。
 貴雄の姿がないからといって悲観するのはまだ早い。一弥は自分に言い聞かせる。たとえ男達に凌辱される日々が続いたとしても、耐えられるはずだ。こんなことは何でもないことのはずだ。
 口へ男のペニスが入ってくる。誰かの手がペニスへ何かを巻きつけた。アナルへ温かい液体が注入される。胸をもむように男の手が這い回り、乳首をつままれた。ライターから炎が出る音が響く。
 仰向けで口淫をしやすいように背中をそらされた状態では、何をされるのか、頭を上げて見ることができない。だが、乳首に痛みを感じた瞬間、一弥は男達が何をしたのか悟った。炎であぶった針か似たようなものを乳首へ突き刺している。
 ペニスに巻きついた何かがぴりぴりとした電気刺激を与えた。目の前が真っ白になっていく。意識が飛びそうになったら、アナルへおもちゃを突っ込まれた。潤滑ジェルを先に入れてあったとはいえ、一弥のアナルはまだ傷ついており、簡単に受け入れられるほど拡張もされていない。
 一弥は目を閉じ、涙を流しながら、口で男達へ奉仕し、体中をもてあそばれた。いつ部屋へ戻されたのか、記憶にない。シャワーを上からかけられて、体を拭かれ、ゼリー状の流動食のようなものと一緒に部屋へ入れられていた。
 目を開くと、重たい鎖が拘束している。一弥は赤く腫れ上がった乳首を見下ろす。口枷は外されていた。プラスチック容器の中にある流動食を口にしようと手で容器を持ち上げるが、どうしても口元までは上がらない。


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