on your mark番外編35/i | ナノ


on your mark番外編35/i

「照れてるのか?」
 敦士の問いかけに、史人は小さく頷いた。
「恥ずかしいことじゃないだろ?」
 それには激しく首を横に振る。敦士は勉強机の下から小箱を引っ張りだした。史人の手を握り、リビングダイニングのほうへ引いていく。ソファに座ると、彼は小箱をひざの上に置いた。
「史人、俺がどれくらい嬉しいか、分かるか?」
 予期せぬ言葉に、敦士のほうを見つめる。
「先に進もうと思ってくれたんだろ?」
「うん……」
 敦士とちゃんとつながりたいと思っていた。彼はくちびるへキスをする。しだいに激しくなるキスに、呼吸を合わせながら、史人は彼の手を握った。彼のひざの上から小箱が落下する。
「んっ」
 敦士は一度、くちびるを離し、小箱をローテーブルの上へ移動させると、キッチンからマフィンを運んできた。
「ありがとう」
 史人は空腹だったため、渡されたマフィンをすぐに食べた。用意されていたオレンジジュースを飲んだ後、敦士からの視線に頷く。注文したのは、コンドーム、ローション、アナル洗浄キットとアナル用のローターだった。
 ハサミの刃でふたを開けた敦士の手に、思わず自分の手を重ねる。
「や、やっぱりダメ。恥ずかしい」
 敦士とはどんなことでも分かり合える自信がある。だが、自分がこっそり購入したアナルセックスの準備のための品を見られるのは、顔から火が出そうなほど恥ずかしかった。敦士は、ほほ笑んで、ふたを開かずに小箱を置いた。
「じゃあ、今から一緒にシャワー、浴びるか?」

 バスルームで服を脱ぎ、全裸になると、中で待っていた敦士が温かいシャワーを出してくれる。彼はお湯を出しっぱなしにして、シャワーフックにかけ、リラックスするように言った。ボディソープで上半身を洗われ、史人は笑みを見せる。
 敦士はシャワーをとめた。
「座って」
 バスチェアへ腰を下ろすと、敦士が史人のペニスへ触れた。
「っ、あーくん、ん……ア」
 敦士の肩へ額を当て、史人は一度目の射精を迎えた。キスを受けながら、彼の手が導くように体勢を整える。タイルにひざをついた時、彼は、「痛くないか?」と尋ねた。
「だ、大丈夫」
 背筋を滑った敦士の指先が、太股の間へ触れる。
「俺に任せてくれるか?」
 うしろを振り返り、敦士を見た。彼は背中から臀部にかけて、キスを落とす。
「うん、任せる」
 バスルームを出て戻ってきた敦士は、ひざをついたままの史人のうしろへ回った。尻をなでながら、ゆっくりと何かをアナルへ当ててくる。
「ん、何? あーくん?」
 冷たくはないが、液体がアナルの中へ入ってくる感触に、史人はうしろを振り返る。
「大丈夫。トイレに行きたくなったら、運んでやる」
「え?」
 しばらくすると、便意を催した。恥ずかしくて、言葉にできない。アナルには何かがはまっていた。何か分からないが、手を伸ばして確かめるのは怖い。四つ這いのままの姿勢では苦しく、史人は立ち上がろうとした。
「っう、く……あ」
 敦士がすぐに手を貸してくれる。史人は彼の腕をつかみ、小さく震えた。まったく知識がないわけではない。自分でトイレまで行こうと思ったが、腹痛とアナルへの圧迫感は自力での歩行を困難にしていた。
「あや、トイレの中までは入らない」
 だから、大人しく抱えさせろ、と言わんばかりに、横抱きにされる。


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