on your mark番外編31 | ナノ





on your mark番外編31

 敦士は苦笑して、背中をなでていた手をとめ、抱き締めてくれた。
「俺は史人と暮らす」
 昔よくしていたように、敦士のくちびるが額へ触れた。史人は緊張しながら、彼のくちびるへ指先を伸ばす。触れる寸前で、敦士の瞳が瞬いた。
「あーくん、俺、あーくんのこと、好き」
 好き、と言ってから、それだけでは足りない、と気づき、もう一度、言葉を伝えた。
「ずっと一緒にいたい」
 敦士は笑みを浮かべて、「俺もそう思ってる」と言った。
「……付き合ってる人、いないの?」
 勇気を出して尋ねた。敦士は、「いない」と即答する。胸に頬を当てて、史人は目を閉じる。
「これからも?」
「おまえ以外、見てない」
 史人は安堵感から、うとうとしていた。両思いだ、と思い、目を閉じたまま口元を緩める。
「キスするぞ」
 頷く代わりに、史人は少し顔を上に向けた。敦士のくちびるが触れる。自然に開いた口の間から舌が入った。
「っ、ん、う」
 敦士の手を探して動いた手に、彼の手が重なる。史人は自分を組み敷くようにして、こちらを見下ろしている彼を見つめた。絡んでいる足の間に意識が集中してしまう。史人の左足には、彼の股間が当たっていた。
「十一歳の時、寝てるあやにキスした」
 敦士がほほ笑んだ。
「さすがに舌は入れてないけど」
 自分の中心が熱くなるのを感じる。敦士も気づいているはずだ。史人はくちびるを結んで彼を見上げる。うなじに近づいた彼は、ゆっくりとキスを繰り返しながら、下半身へと体をずらしていった。
「んっ、あーく、まっ、あ、ァア」
 手を伸ばすと、敦士の髪に触れた。ハーフパンツの紐を解いて、彼の手が下着の上からペニスへ触れる。
「あーくんっ」
 先ほどまでは眠かったのに、今は眠気が飛び、ただ以前と同じ快感を求めていた。下着を下ろした敦士は、たち上がっている史人のペニスへ舌を這わせる。史人は声を抑えず、自分の手では得られない快楽に沈んだ。
 口で与えてもらえる絶頂に酔いしれ、史人は眠気こそないものの、体に残る甘い感覚に敦士へと抱きつく。彼の勃起したペニスが足へ当たり、自分も何かしたいと思った。
「あーくん、俺も……しようか?」
 少し間が空いたのは、敦士がしてくれるように、口でしたことがないからだった。同じ快感を与えられるか不安になる。敦士はすべて見通しているようで、「手でいい」と言った。
 起き上がり、あぐらをかいている敦士の足の間へ手を伸ばす。敦士のそこは見慣れていると思っていた。だが、この状態になっているところは、まだ見たことがない。大きくそそり立っているペニスへ触れると、脈打つのが分かる。
 史人は感じて欲しくて、敦士の顔をうかがいながら、手を動かした。
「……気持ちいい?」
 小さな声で聞くと、敦士が拳を握り締める。
「あやが触ってると思うだけで、いきそうになる」
 敦士の瞳がうるんで見えた。彼の興奮している姿に、史人は思わず屈んでペニスを口へ入れた。
「あ」
 敦士は、「ばか」と言い、史人は口の中に放たれた精液に驚いた。
「出せ」
 ティッシュを渡され、吐き出そうとしたが、口の中の分は飲み込む。どうしてそうしたのかは分からない。だが、どれくらい好きか、知って欲しかった。

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