log | ナノ
鳥のさえずりは聞こえないけど、機械で動く可愛い動物はいる。

ちゃんと朝起こしに来てくれる利口なロボットを蹴散らして、私は花礫の上に覆いかぶさった。無造作な長いまつげに、整った顔立ちに少しだけ嫉妬する。ピクリとまぶたが動いた、夢を見始めたのではなくて起きたのだ。うっすらと目を開けて私を確認するなり、特段、驚いたりもせずに私に「どけ」と一言。のんびりと私はがれきに声をかける。


「花礫、おはよう」

「ん、ああ」


目をこすって、私の肩を押しのけるように何度も力を入れる花礫。寝起きだからあんまり力が入らないのでそう簡単にどけられない。ニヤニヤしていると、視界の端で捉えたそれに私は眉間にしわを寄せた。

分厚い本が、そこにあった。目が少しだけ充血していて赤い。


「また遅くまで本読んでたの?」

「あ?まあな」

「…寝不足で成長が止まったらちっちゃいままんまだよ」


與儀みたいに大きくなれないよと笑っていたら、不機嫌になってしまった花礫。

やっぱり気にしているんだろう、身長。昔からちょっと変な負けず嫌いなところがあったよね。ニャンペローナを着た時も、足の部分がダボついて違和感ありまくりだったな。


「うるせぇ、お前だって」

「私はいいの、だって小さくても私のことを見つけてくれるでしょ」

「さあな、お前が使えなくなったら俺はお前のことを捨てる気だぞ。よくそんなこと言えるな」


どこに行っても花礫は私を見つけてくれる。

檻の中に閉じ込められたときでも、海の中に沈められても必ず花礫は「バカ」って怒鳴って怒ってギュって抱きしめてくれる。


「さっさと退け、犯すぞ」

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