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やっと戦いは終わった。

まだまだ物資や食料は足りていないけど、これからなんとかやっていける見積はあるみたいだ。近くの島まで船で出稼ぎや、なにかしら特産物を売って見ればお金になるし人材を確保できるという。


戦争も大変だったが、戦争が終わったあとも大変だった。でも、笑っていた。

みんな笑顔が戻った、笑い方を忘れた兵士たちはぎこちない笑を浮かべて、それを笑いのタネにしてどっと笑わさせて…。



民族を束ねるのはみんなで選んで決めようと政治の方は政治で纏めている。私は動けるだけ動くが、大口をたたけるほどの立場ではないから居場所を失っていた。
焦りもあったけれど、どこかそれが心地よいと感じ始めていた、そんな時。船長は私を呼び止めた。

「仲間になるっつったじゃねぇか」と口を尖らせて私の首根っこを捕まえて引きずって行く。待て、いつそんなことを言った。


「本気で言ってるのか!?行っておくけど、私は強くないんだから!」

「弱かねぇよ、このしま一番の腕だってみんな認めてたんだぞ!で、仲間になる気になったか!」

「絶対足でまといになるから!でも一緒に旅はしたい!」

「本音だだ漏れだぞ」


船に連れてこられてぎゃあぎゃあ言い合っていると、剣士のゾロが私の頭をひっつかんだ。「ついて行きてぇならそれでいいじゃねぇか、メンドくせぇ餓鬼だな」と言う。


ミシミシと音を鳴らしている片手を取り敢えずどうにかしてくれ、ゾロ君。手を離されて甲板に尻餅ついていると、船長は「ゾロ〜どうにかこいつ説得してくれよ」と大声で呼び止めているが、ゾロは片手を上げて船の隅によっかかる。


「なんで旅にこだわるんだ?海賊は嫌いなのか、お前」


ウソップは私に近寄って手を差し伸べた。動く方の腕を伸ばすと、ぎゅっと握り返して立ち上がらせてくれた。はあっと重たくため息をつくと、ウソップは首をひねって私に問い尋ねる。私はその声に少しだけ憧れと情熱をねじ込んだ。


「そういう訳じゃないんだ、ほら、海賊は強いイメージだし…私は弱い。でも、旅ができるのは羨ましい!」

「ルフィー、ナマエが納得してくれたぞ」

「よーしじゃあ出航だ!」

「ええええええええええええっそんな軽くていいの!?」


驚いているとナミとロビンが私の両肩に触れる。この状況に慣れているのか、黙って私は彼女たちの言葉を待っている。


「ウチの船長はいつもああなのよ」

「止めたって無駄よ、ナマエちゃん」


「止める気も出ない」と小さく呟くと、二人は楽しそうに笑った。ナミは私の頭をできるだけ優しく撫でて、ロビンは愛でるように何度も背中を撫でる。そんな仕草に私はちょっとだけ見とれて、うつつを抜かしていた。
これ、絶対私があの島の住民が見ていたらすごい顔されると思う。


「ふふ、ナマエちゃん、後で私たちがお洋服選んであげるわ」

「待ってなさいよ〜」


そう言って船室へ消え去ってしまった二人。チヨチヨと可愛い足音とともに訪れたのは私の世話を甲斐甲斐しく焼いてくれたチョッパー。

ナミと違ったお世話をしてくれた。おもに怪我の手当だったけど、メンタル面でのお世話もしてくれた。恩人のチョッパーは何故か私の服を掴んで嬉しそうに腕を回している。


「ナマエ、怪我が治ったらいっぱい遊ぼうな!」

「チョッパー、ナマエと遊ぶのはこの俺だぁああ!」


ビヨンっと飛び込んできた船長。避け切った私とチョッパー。当たったらあれは確実に海の底行のチケット発行だ。ふう、っと落ち着くように呼吸を整えていると、反動で戻ってきた船長は容赦なく私に体当たりする。考えが足りなかった私を豆腐の角で殴りたい。


「よし、元気だな」

「どこをどう見て元気だって言えんだよバカ野郎!どう見たって動ける状態じゃねぇだろうが!怪我はないかい、ナマエちゃん」

「へ、平気だ」


そう言って手を差し伸べたコックのサンジ。船長はサンジによって放り投げられた。船長なのにこんなことできるのはこの船くらいじゃないか。「ありがとう」と返した途端にサンジは「うっひょぉ〜なんて可愛いんだナマエちゃん〜」とくるくる回り始めた。
吃驚して声が出ない。後ずさりすると「避けなくてもいいんだよぉ〜ん」と目をハートの形にさせて近づいてきた。それを遮ったのは船大工のフランキー。大きな体の大半はサイボーグだと言っていたのは本当らしい。戦争を食い止めるためにいろんな道具が腕から出てきたと聞いている。


「怯えちまって元も子もねぇぞ」

「すまない、フランキー」

「なぁに、いいってことよ。今日もスーパー!」と大きな声で叫んだあと、ウソップに近づいて、何やら話し込んでいる。彼らは、モノづくりが得意なのか?一度聞いてみたいな、と思って笑みを浮かべる。ちらりと骨だけの音楽家と目が合う。私は駆け寄って本当に骨だけなのか確認するように何度も見る。


「ヨホホホ!ナマエさんは私を見ても驚かないんですね」

「珍しいけど驚きはしない、すごいね、骨って」

「ヨホホホ!褒めたって何も出てきませんよ」

「ナマエ!遊ぶぞ!」

「さっきまでの話聞いてたの?船長」


私は噛み付くようにそう言ったけど、そんなの気にしないでじゃれ合おうとする。出航する船の上で、青い鳥のストラテジーを終えて羽根を休めるかのように、のんびり。穏やかな潮風に乗って今日も平和な未来に進んでいく。

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