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練習試合が終わってから、なにか彼女に買っていこうと思った。今日、彼女は夏風邪でダウンしている。夏風邪も嘘だったらいいのに、そう思って俺は彼女がいつもしているように窓から部屋に入ってみると彼女のサイドテーブルの上にはゼリー飲料と薬と水、なぜか小説が置いてあった。

夏風邪は本当らしい。そもそも、幼馴染の俺にメールで逐一伝えることだったのだろうか?疑問が払拭されない。


「つくづく女とはわからないものだな」


自動販売機の目の前で三種類の紅茶を熟考して、ストレートティーを選び、ボタンを押して機械的に落ちてきたボトルをとった。ひんやりと冷たい。
俺の独り言を聞いていた高尾は目を点にして聞き返してくる。一々うるさいやつなのだよ。


「真ちゃんそれマジで言ってんの?あの真ちゃんがっ」

「高尾うるせぇ、轢くぞ」


宮地さんも飲み物を買いに来たのか、片手には財布が握られていて、高尾の声に少しだけ苛立ちを見せていた。あまり先輩を怒らせるな、ペナルティが気づかない間に増える。


「だって、宮地さん聞いてくださいって。こいつが変なこと言いやがって」

「いつも変だろ、緑間珍しいな。紅茶を買うなんて」


俺が片手に持っていた紅茶のペットボトルをみて宮地さんは淡々と言う。宮地さんは財布から小銭を取り出して投入口へと黙って入れた。俺はボソッとっ不満を口に出した。


「お汁粉ばかり飲んでると思わないでください」

「あ、自覚はあったんだな、お前。けど俺的には紅茶は」


ミルクティーは邪道だと切り捨てられた。彼女とはまた別の答えだった。悲しい味、今度は邪道。考え方は人それぞれと実感した。


「え、宮地さんミルクティー飲めないんすか」

「そうじゃねぇよ、なんか混じってるのは紅茶じゃねぇ」

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