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*病み表現を含む
真っ白で、ふわふわ。マシュマロみたいに甘くて、いい匂い。
まん丸お目目はまるでいちごさん。
か弱くて、触れたら壊れてしまいそうな男の子。と、裏腹にどす黒い感情が常に蜷局を巻いている。この男、因幡遥。私の大事なものを見境なくじわじわと侵食するように奪っていった。柚樹だって、聡明さんだって、洋だって私の宝物なのに、彼はいとも簡単に手に入れいく。狼男なんかじゃない、コイツは悪魔だ。気づいたときには、私の周囲には誰もいなかった。冬虫夏草を口にぶち込んでやりたい。
「ねえ、好きなものばかりでしょ?」
私に手錠をかけて、フォークで巻いたボンゴレを見せつける遥。その皿には、アラビアータもあるし、ドルチェも乗っていた。綺麗に作られている、きっと部下にでも作らせたんだろう。警戒心むき出しで私はそのフォークの先を見つめた。
「僕が嫌いって言ってよ」
「マゾヒストに話すことなんてない」
私が遥のことが嫌いなんて、心の声で分かるくせに、わざわざ口に出して言うことじゃない。地下に閉じ込められているので、お天道様なんて見えない。ぼんやりと明るいランプに照らされた地面を見る。
「なんで僕の人形になってくれないの?あんたの重宝している人や物、強奪したのに。僕に平伏さないなんてムカつく」
「瞞着できるほど頭よくないのわかってるでしょ」
「ああもう、イライラする。僕の言うこと聞いてよ。じゃないと殺す」
「あんたのおもちゃにはならない」
私が断るように宣言すると、遥は私を見て一筋の涙を流した。悲しそうな表情を見せつけたって私の心は揺るがない。ここから早く出たいという気持ち、遥から逃げ出したい気持ちで埋め尽くされている。
「…僕はさ、なんの曇りもない君に言葉が好き。ずっといてほしい、僕のことが嫌いでもナマエはそのままでいいよ」
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