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*注意 高校生時代
「庵くんはモテモテだね」
帰り道で、あの人に会った。おしとやか、が第一印象。つやのある黒い髪をバレッタで止めて、少し長いスカートをはいて自然な化粧を施している。大人の女性、っという言葉がびったりで俺は話しかけられるたびにドキドキしていた。
微笑んでいる彼女に俺は高校生らしい、態度をとった。
「っ、こ、子供にモテてもいいことねーから」
「圭ちゃん喜んでるよ?」
腕の中で寝ている圭は俺の制服をつかんで離さなかった。兄とけんかして、俺の家に来るといいながら途中で疲れて寝てしまったのだ。手の焼ける一家だな。人差し指でフニフニと圭のほほを突っついた。彼女は楽しそうだ。本当は、彼女が片手に持っている荷物を持ってあげたいが、腕が足らない。
「お、俺はあんたに喜んでもらいたいっていうか、もうちょっと」
「?」
「っはぁ…もう、俺はおこちゃまでも、後輩でもないんだからいい加減ひとりの男として見て欲しいんだけど」
「嫌」
「案外さっぱりしてんな」
じゃあ、どうしたら彼女ともう少しだけ近づくことができるんだろうか。知恵を振り絞ってみるがなかなか、高校生の脳味噌からは出てこなかった。彼女は口元に手を当てて上品に笑った。どこかのお姫様のようだ。
「まだ心は若々しくしておきたいのよ。そしたら、同じ目線であなたと恋愛できるでしょ?」
「また、俺より上手なこと言って…負けないから」
「あら、将来が楽しみ」
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