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なぜ彼女が泣いているのかわからない。
嗚咽をこらえて、クッションに顔をうずめて肩を震わせている。泣きたいのはこっちなのに、なぜ、私が責められなきゃいけないのか。誰か聞いてくれ、私はいつ悪いことをした?というか、悪いのは彼女だ、私に内緒でなんでも勝手に決めて、勝手に飛び出していなくなる。
「どうしてそんなことができるんですか」
「それはあなたにそっくりそのまま返します」
私がピシャリといえば、彼女はまた涙を浮かべて一筋こぼす。ああウザったい。だから女は嫌いなんですよ、と愚痴っぽく言うと彼女は私に白いクッションを投げつける。
ボスンとホコリが出ると同時に軽い衝撃。一方的に言われるのは気に入らない、私は金棒を持ち上げて彼女に迫る。
「そもそもあなたが悪いんですから」
「私が?」
「あなたがあの子に心を委ねるから悪いのよ」
「だからって勝手に手を出されては困ります。私を通してください」
「うるさい、あの子は私にだって大事な子」
「先に目をかけたのは私です」
「違うわよ!あの金魚草は私が先に育てたわ!」
「ちょっと待った、なんで僕の店でそんなどうでもいい喧嘩してんの」
白豚にこの口喧嘩を止められるなんて、私はなんという失態を犯してしまったんだろう。だが、白豚の陰に隠れて鼻で笑う彼女に向けて私は容赦なく金棒を投げつけた。
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