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性格はサバサバしてると思う。

それに結構人のことを考えないでズバッとなんでも言ってしまう傾向がある。


多少、人に恨まれたり嫌味を言われたりすることはあるけど、表裏なくていいという評価設けているから、私自身、そんな自分を愛してきた。

だが、今は私自身、愛せなくなってきた。きっぱり物事を言う性格が仇となってしまった。



「なーなー、ナマエ」



そう、この人。火神大我、何故か私を振り回す。
何かあれば私の後ろについてきたり、時々紳士になってリードしてくれたり、機嫌が悪かったら拗ねて構って欲しいというオーラを出して。彼は一体なんなんだと思うほど、過ごす時間は増えている。
バスケットボール部の新星がこんなんでいいのかと、一度火神大我のお友達の黒子くんに聞いてみたけど「試合の時は別人です」と一言でバッサリ切られた。

初めて他人にバッサリと切り捨てられた時だった、あれは。



「なにー火神ちゃん、私今忙しいんだけど」



名前を呼ばれて私は振り返って彼を見た。机を覆い隠すようにだらんと体を伸ばして、私の制服を引っ張っていた。小さい子供が駄々をこねているような表情を浮かべている、そんなことをしなくても私が振り向くことくらい知っているくせに。

ちょっとだけ嫌な顔をしつつも、振り向いてみると、彼はにやっと笑って今度は髪の毛を掴んであそび始める。楽しそうに火神くんは話し始める。



「本読んでるとしか思えねーんだけど、なーナマエ」

「なに?」



またロクでもない話しをはじめるんだろうな。半分セクハラ、半分口説きのアメリカ人特有のおはなし。彼は日本人だけど、名残があるんだろう。めんどくさくなる前に早く切り上げようと思って私は、栞を本に挟んで火神くんと向き合う。
暖かい日差しがウトウトと眠気を襲うが、彼の目の前で寝てしまうと身の危険を感じる。ピンピンと髪の毛を引っ張ったりくるくる丸めたりしながら口を開いた。



「べんきょー教えてくれー」

「黒子くんとか、ああ、相田先輩に聞けばいいじゃん。私は嫌よ」



ため息混じりに返事を返して、私が前を向くと、火神くんは私の首筋にそっと大きな手を通わせた。一瞬変な声が出そうになったが抑えた。ああ、この人って本当に根元は日本人なのか?アメリカできっといろんな経験をしてきたんだな。私は絶対そんな人とは通わせなくない!そうだな、誠実さで例えるなら緑間くんだ。

彼のことを見習って欲しいと思いながら火神くんをみると「なんだよ、その顔」と拗ねる。

まったくもって…彼は子供である。



「お前に教わったほうがいいんだっつーの、頭悪いな」

「あんたに言われたくない、どこ教えたらいい?」



彼の体の下に隠れていた数学の教科書に視線を移すと、彼は私の顎を掴んでキスするかしないかの寸前のところで止める。この人は人の目を気にしない癖がある、顔の真ん中に熱が集中するのがわかった。じわじわと耳までも熱くなってきた。



「せーきょーいく、どうやったらうまくお前と寝られるか」



カチン、と私の頭にきた。

絶対これ、馬鹿にしてるよね。こんな時にシャープペンを持っていたら容赦なくへし折っていただろう、よかった、持ってなくて。



「いいかげん怒るよ」

「冗談だって、怒んなって。なーナマエ」

「なに」

「お、怒った。本なんていいから」

「…はぁ、黒子くん、どうにかして」



火神くんの背後に隠れていた黒子くんに私は一言声をかける。彼も読書をしていたみたいで、カバーに隠れていて何を読んでいるかわからないが、佳境に入ったものではないらしい、すぐに顔を上げて私に返事をした。



「よく僕がいるの気づきましたね、僕が火神君を止めたら怒られそうなのでやめときます」

「なんで怒るの」

「それくらい察してください」

「察する気分にもなれない」

ぐいっと髪の毛を引っ張って火神くんは顔を無理やり近づけさせた。

「ナマエ、俺を無視すんな」

「うっさい、無視なんてしてない。私は忙しいって言ってるでしょ。今日の昼休みにでも返さないと」

「じゃあそれ、俺もついていく」

「なぜそうなる」

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