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天性のネガティブだと信じてる。というかそうだと思う。例えば、そうだなぁ。私の後ろの席の男子がしゃべっている悪口が私にかかっているような気を起こしたり、クスクス笑っていると、ああこれって私なんじゃないか、いいや、あ、でも。みたいな、それくらいネガティブ。だから、マネージャー業をやっているとそういうことも少なくない。

決して、宮地くんが悪いわけじゃない。彼の口が悪いというのは私だって理解してるつもりで…だめだ、泣きそう。


ポロポロ涙を流していると後輩の高尾くんが驚いて監督を大声で呼び戻した。それも泣かせた張本人の名前を大声で伝える。


「監督ぅ、宮地サンがまたマネージャー泣かせました」

「高尾、それは本当か。大丈夫かミョウジ」


大坪くんが私の肩を叩いてなだめてくれていた。トントンと幼子をあやすような感じ、彼はこういうことになれているから、私の泣き止ませ方を知っている。心の中で大坪くんに謝りながら早く、早く涙を止めなきゃと必死になる。ああ、嫌だ嫌だこんな私なんて死んじゃえばいいのに!


「いい加減にちょっかい出すのをやめたらどうだ、宮地」

「別に、俺は事実を言っただけでこのブスに」

「ほら、そういうのがダメなんですよ宮地サン、女の子は泣いちゃいますって」


青春だな、と監督は囁いたけど違う違う。こんなネガティブの道を歩くことが青春だったら尾崎さんもびっくりだよ。ジャージの袖口で涙を拭っていると、後輩の高尾くんがタオルを取り出して「拭いてください」と優しく言う。ウザったい先輩なのに心配りができるなんて、出来た後輩だ、私が卒業してもきっとこのバスケットボール部は安泰だろう。


「俺だって好きでこいつを泣かせてるわけじゃねぇし」

「宮地サンそんな見え見えの嘘はダメですよ」

「嘘じゃねぇし、轢くぞ」

「ああ、またマネージャーが泣いたじゃないですか」

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