短編 | ナノ

遊ぶのが愛してやまない
生真面目そうな顔が俺の中でのイメージ。

メガネをかけてて、邪魔な髪の毛は可愛げのない黒いゴムで結んでいて、整えられていない眉毛にまつげ。
緩むことのない頬。笑ったところを見たことがないのは、当たり前、なんていう不名誉なレッテルを貼られている成績上位者のミョウジナマエチャン。授業態度はロボットのように黙って、当てようとするときはすかさず手を挙げて発言。


俺とは別世界の人間だ。俺みたいなやつのことを全体的に否定し、見下してると思っている。だってそうだろ?ああいった頭の固い女の子は俺たちを社会のクズのように見ている、ま、別にそれがどうしたってわけじゃねぇけど。


近くを通ったミョウジナマエチャンから、タバコの臭いがした。福チャンは「親が吸っているんじゃないのか?」と深く疑念を持たなかったけれど、俺には他の匂いも嗅ぎつけたわけで。

分かっちまったんだな、これが。


「ナァんでお前みたいな優等生チャンがタバコ吸ってるわけ?」

「はて?どう言う意味ですかそれは」

「随分夜は楽しんでるんじゃナイ?」

「見間違いですよ」

「俺は一度も見たとか言ってねぇんだけドォ?」


優等生ほど、裏の顔はすごいっていう眉唾は本当らしいな。

ニヤニヤと俺は笑って近づいてみれば、ナマエチャンは歪んだ笑顔を見せた。
こんな顔もすんのか、相当頭腐ってんじゃねぇの?どんどん近くなればなるほど、壁に追い詰められていく。それを楽しそうにしているのはいささかおかしい。


「俺と遊べて楽しいか?あ?」

「そうだねぇ、これからが楽しみ」


「は?」と言う前に扉が開かれた。そこには生徒指導部の先生がいる、ああ。こういうことか。俺が離れる前に、ナマエチャンは「やめてください!」と大声で叫んで俺を軽く突き飛ばして先生がいまだ呆然と立ち尽くしている背後にある扉に一目散に開けて階段を下っていく音が聞こえた。このあとは、お察しの通り。