上から目線は似ている「兄さん、その人誰」
「ン?黒田にガンつけてんじゃねぇヨ、バァカ」
兄さんと似たような髪型で、私が兄さんと並んで歩いているとその人はギラリと威嚇するように睨んできた。
指を指して兄さんに誰かと聞いたら、満足そうに笑って頭を撫でる。自慢の後輩なんだろうな、私には何にも教えてくれないくせに。私はそこから離れて、白い髪の毛の、睨んできた男の人に近づいた。
「荒北ナマエ、あなたと同い年」
「荒北さんの妹、か」
名前を明かすと驚いたように目を見開いて、にやりと口角を釣り上げた。なんかこの人性格悪そう、というか私と馬が合わないそうな気がする。話も続かないのにここにいる意味なんてあるだろうか、そそくさと離れてしまえばいい。兄の方を見ると、同じ学年の金髪の男の人とさも楽しそうにおしゃべりを交わしている。
いつだって私は家族から切り離されている、こんなことなら付いていかなきゃよかった。
「似てねぇな、アンタ」
「知ってるわよ、そんなの」
「タッパもそんなにねぇし、細いわけでもないし目つきが悪いわけでもない」
なぜ、この男は兄と私を比較したがるんだろう。そっか、私ではなく、彼は兄に憧れてもっとそばにいたいと願っているからか。口を閉ざす私を見かねることもしないで、ああ失礼な男だ。眉間にしわが寄っていく。
「アンタはあの人と違って優しくて可愛い」
「っは?」
「連絡先教えてくれよ、ナマエちゃん」
「…その前に、あんたの名前教えなさいよ」
← →