短編 | ナノ

泣き出しそうです
怖いものには変わりない。隣の席になってしまったのは仕方がない。ああ、神様きっと私のことを見放したんだね、うん一生恨む!死んだあとでも神様恨んでおくから、覚悟してね。席替えの隣になったのは、私が苦手とする相手、荒北靖友くん。一度も喋ったことはないけれど、声が大きくて、やんちゃそうで、あ、やんちゃなのは一年生の時にヤンキーに転職していたと聞いているから仕方がないか。あと、どことなく乱雑そうで、男って感じがして怖い。学校に行きたくないと言うわがままさえ、未だに払拭できていない。今日も嫌だなぁっと考えながら席に座る。

そんな私にここぞとばかりに嫌なことが起きる。「隣の席の人とペアを組んでレポートを提出してください」と笑顔で新米教師が言った。

火炎瓶投げつけてやろうと思った、もしくは車のナンバープレートのところにエロ雑誌のおっぱい丸出しのお姉さんの写真を貼り付けてやろうかと思った。


まあ、そんなイタズラをしたって現実は変わらない。授業中に相談する時間をくれたおかげで何とか、できそうな気がしてきた。うん、そうしよう。こういう時こそポジティブに。


「何についてレポート書く?」

「荒北くんの希望は?」

「あー…特にねぇから、ミョウジの好みでいい」

「了解、じゃあコレにしておくね」


案外、スピード解決。うぉおお!これ、私頑張ったよね!?家に帰ったらPSPに慰めてもらおう。血相変えて怒る姿もなかったから大丈夫?いや、愚作になってしまえば殺されるんじゃない?右手が不自然に震えてくる、うわぁ、止まれ止まれ。


「ナァ?俺のこと怖い?」


めっちゃ怖いっす。


「あーそんな、いきなり怒ったりしねぇし」


いや、いきなり怒った姿よく見ます。


「仲良くして欲しいって言わねぇから…俺にもレポート手伝わせろ」そう言っている荒北くんの顔が、面白くて笑ってしまった。途端に荒北くんが怒ったのは言うまでもない。