「あ、やあ、っあ」

「名前、さん」


中途半端にはだけた制服。汗で額に張り付く前髪。紅く染まる頬。名前の何もかもが花道を狂わせる。自分より40センチは小さい彼女を組み敷き、その小さな躯に己を突き立てる。


「っや、ん、はな、あ」

「はっ…とまん、ね…っ」


だらし無く半開きで荒い呼吸を繰り返す名前の唇に噛み付くようなキスをして酸素を奪う。彼女の潤んだ瞳で見つめられ、花道の腰の律動は彼の意志とは関係なくさらに激しく加速する。


「だ、めえっ、ん!」

「すいませ…」


「何がすいません?」

「へ?」


目の前に先ほどまで自分の下であられもない姿になって喘いでいた名前がきちんと制服を来て不思議そうな表情をして花道を見つめていた。状況がすぐに飲み込めない花道だったが、しばらくしてさきほどの大人の行為は夢だったと気付く。落胆と同時に急に恥ずかしくなる自称天才。油っぽい変な汗が体中から一気に吹き出てきた。


「なななんで名前さんがここに!」

「もー!今日夜ご飯作りに行くねっていったじゃんー」


部活前に名前が言っていたことを思い出す花道。辺りを見渡せば中途半端に片付けられていた部屋。どうやら部屋の片付けをしている最中に寝てしまっていたようだ。食卓には水炊き鍋と山盛りのご飯がならべられていた。


「ねーなんで夢の中でアタシに謝ってたのー?」

「あ!や!ちがっ、その!エート…」

「何か隠し事ー?」

「いえ!決してそのようなことは!」


付き合い初めて10ヶ月と少し。これといった大きな喧嘩も倦怠期もなく平和に過ごしてきた2人。そしてそれはキスこそすれ清く健全なるお付き合い。しかしそこには花道の並々ならぬ我慢と努力の上にあるものであった。


「教えてくんない子は晩御飯抜きの刑に処するー」

「ええっ」

「うっそー!へへ、ねーはやく食べよー」

「はい!」


キスなら数えきれないくらいしてきたが、息もできないくらい深いキスをしたのは一度だけだった。そのまま行為に及ぼうとした時、名前が酷く怯えているように感じた花道はそれからというもの名前を怖がらせまいと必死に自らの性欲を押し殺してきた。しかしその努力虚しく、美味しそうに水炊き鍋を食べている花道に、ふわふわ笑う愛しい名前から死刑宣告が下される。


「あ、そーだ今日泊まってもいー?」

「ふがっ」

「わは、はなちゃんきちゃなーい」


麗しの君は容赦なく花道の今までの奮闘を奈落の底に突き落としさらにブルドーザーで生き埋めにした。唐突な爆弾発言により口内が爆発した彼の鼻の穴からは榎が飛び出している。


「と!トとトマル…!?」

「明日朝早くから補習があるの。はなちゃん家のほうが学校近いしー」


せっかくの土曜日なのにねー。そう言いながら花道の鼻の穴にぶら下がる榎を拭き取ってやる名前。同年代にしては性についての知識が少し乏しい彼女は、花道がどんな思いで日々の性欲を我慢しているかを知らない。残酷の一言に尽きる。


「な、なるほど…いやしかしっ!」

「だめー?」

「どーぞごゆっくり!…っは!」


やられた。しかし時すでに遅し。名前の首を少し傾けるお願いポーズにとことん弱い花道であった。彼の寝不足が確定される。


「やったーはなちゃんダイスキー!」

「お、俺も!スキっす!…っは!」


ここで花道考える。まてよ、と。もしかしてさっきの夢は未来の自分達ではないのか、と。そうだ桜木花道、これが世に言う


「…マサユメ?」

「え?徳川?」



それは政宗
アイのオベンキョ、シまショ






(ん?なにみてんのよえっちー)

(え、えっち…ブっ)

(きゃー!鼻血オトコー!)



―――――――――――



政宗でもなければ正夢でもないよ
あるとするなら予知夢だよキミタチ。
続き書くなら確実にR指定ですねー
いやうまくかわすかヒロイン…



それは政宗