「こほ、けほっ、」 「名前大丈夫か!?」 「ん、大丈夫、ただの風邪だから」 「ホントか!?」 「うん、ほら、お薬飲むから、ね?」 近所に住む花道とは同い年で昔からよく遊んだりしていた。いわゆる幼なじみ。 「しんどかったらすぐ言うんだぞ!」 私は小さい頃、風邪をこじらせて肺炎になってしまい、救急車で運ばれて大事になってしまった事がって、その時のトラウマなのか、花道のお父さんの事があったからなのか、花道は私が咳をしていたり、風邪をひいてたりするといつも心配していた。 「誰しも年に一度は風邪をひくのよ」 「む?そうなのか?」 「はは、花道は無敵だから風邪なんかひかないね」 「おお!」 気丈に振る舞うけれど、ベッドに寝ている私の手を握る大きな手の平は少し汗ばんでいる。なんだかんだ言っていっこうに帰ろうとしないし時々思い詰めたような顔するし。でも無理もないか今回は。学校で、しかも花道の目の前で倒れちゃったもんな。 花道が保健室まで運んでくれて、ついでに家にまで送ってくれたんだけど、バスケ部の練習とか行かなくてよかったのかな、花道。 気がつけば時計の針は夜の11時を指していた。 「花道」 「ヤダ」 「まだなにも言ってないよ」 「帰らねー」 昔から勘だけはいいのよね。ベッドに顔を埋めて駄々をこねる。こうなったら洋平でも花道を動かせない。そんなとこでいてたら風邪ひいちゃうよ、ばかみち。 「花道」 「む、帰らんぞ」 「おいで」 へ、あ、え?とか言って吃る花道は犬見たいでホントに可愛い。花道が横になれるぶんだけベッドにスペースをつくってやると、遠慮がちにもそもそと入ってきた。それにしても一緒に眠るのなんていつぶりだろう。小さい頃から私より大きかったけど、今はもっと大きくなったな。花道と向き合って手を握りしめるとぎゅ、と握りかえしてきた。 「私はいなくなんないよ」 そう言って、泣きそうな瞳をした花道を抱きしめてやる。ガチガチだ。そりゃそーか寒かったもんね。しばらくしてからゆっくりと私の背中に手をまわしてきた。 「心配かけてごめんね」 「はやくよくなれ」 暖かい。薬も効いてきたみたいだし、花道もいるし、今夜は良く眠れそう。 生殺しにされたって かまわない 貴女が元気になってくれるなら (花道暖かい、花道も眠いんだな) (ね、眠れん) ――――――――― ヒロインに抱き着かれて 体温上昇してるはなみっちゃんに 気付かない鈍感残酷ヒロイン。 生殺しにされたってかまわない |