あー。暇や。暇やで。

アタシの実家は商店街のなかにある八百屋。アタシは学校が休みの日に店番をたまーにする。なんて親孝行な娘なんやアタシいやほんまこんなええ娘今日日おらんで。

しかし暇や。書き入れ時のお昼から夕方は近所のおばちゃんがいっぱいきてててんやわんやなっとったけど、ピークが過ぎた今はだぁーれもこん。あー暇や。

あ、あかん。暇はあかん。こーゆう暇なときにかぎってあいつがきよんねん。


「名前、きゅうりとなすび」


ほれきた。


「うえ、烈」

「うえってなんやねん俺かてお前にあいとーてきとんちゃうわい。お使いやお使いっ」


家が近所で幼なじみの南烈。幼稚園から始まり高校も一緒のこいつはほんまにめんどくさい。お使いとかするキャラちゃうのに店が暇な時にたびたびきよる。そして来てはくだらんことゆうてアタシをおちょくる。


「きゅうりとなすびでやらしい想像してんとはよしてんか」


はいでました下ネタあーめんどい。なにどや顔しとんねん腹立つわー。今時小学生でもゆわんしょーもない下ネタをアタシにゆうてどないしたいんや。ほんま、岸本といい男子はいつまでたってもアホや。


「岸本と同レベとかやめろ」

「あれ、わかっとったん」

「あほかお前が今全部ゆうてもーてたんじゃ」


あらあらアタシったらお茶目。たは。とりあえず烈めんどくさいからさっさきゅうりとなすび袋に詰め込んで帰そうというアタシの作戦毎度のことながら素晴らしい。お金もーて袋渡してお釣り渡して


「まいどおーきにー」


ゆうたら烈はガンつけながらお前ほんま可愛ないなとかなんとかゆうて帰ってアタシの勝ちや。いつもやったら。


「おいまったらんかい」


おっなんや今日の烈はひつこい。ほんで気持ち悪い。あっ気持ち悪いんはいつものことやった。


「なんやおまけなんかしーへんで」

「ちゃうわ!アレや、そのなんや、ほれ、なあ」


はああ?アレとかなあとかでわかるかちゅうんじゃ文法知らんのかこのアホは。キョロキョロしとらんと主語と述語を言え。


「次、の土曜、あ、あけとけや」


なにどもっとるんやこのカリメロは。可愛いとでも思うとるんか。ほんでこのカリメロは口の聞き方も知らんらしくなぜか上からやシバいたろか。


「なんでよ」

「なんで、て、あー。」


はよ言えや腹立つのう。なんで下ネタばーばーゆえるのに普通の話がちゃんと喋れんのや。男(アホ)は不思議や。心なしか顔が赤く見える。とゆうかやっぱりほんのり赤いきしょい!


「見に来い。予選。IHの。」


もーまた文法おかしいー。アホやアホや思うとったけどこいつここまでアホやったんか。そしてまた上からか。なんなんシバいてほしいんMなん?きしょい!ちゅーか、


「知っとるわそれくらい」

「な、んやと、なんで」

「なめてもろたら困るわ」


そんなもんとおにチェック済みや何年烈の幼なじみしとる思とん。絶対見に行くで当たり前やろ。


「また口に出してもーとるぞ恥ずかしやっちゃなあ」

「優勝せなシバくからな」

「アホウ、女がシバくとかいいな」


応援はまかしときー!そう言うて、にっと笑って烈を見上げると烈はまたどや顔。え、なんでなん?なんでそんな偉そうなん?普通に嬉しがれん烈は思春期なんやうか。


「惚れても知らんで」


ニヒルに笑って訳のわからんことを言いながらやっと烈は帰りよった。アホか。とおの昔にホレとるわい。はよ気付くなり告るなりしてこんかいほんまめんどくさいやっちゃで。

ほんまはぜーんぶ知っとんねんで。お使いなんか頼まれてへんことも、喋りたいから暇なときわざと狙ってきよるんも。烈は昔からわかりやすいからな。やからさー





好きって言ってよ、
はやく!
   平行線の両想いにピリオドを




(絶対優勝する、んで惚れさす)
(あー、暇やなあ。土曜何着て行こ。)




―――――――――


両想いだけど
気づいてない南氏と
ツンドラヒロイン的な。
gdgdオチ無し乙。





好きって言ってよ、はやく!