帰りのHL終わったらいつもさっさ帰りよる苗字が、今日は6時過ぎても教室におった。珍しいこともあるもんや何しとんやろ。


「なんしとん」


きいただけやのにえらい顔して睨んできよる。おう、怒っとるなこりゃあ。俺なんかしたか。


「かー!しらこいのー!居眠りバレた罪で居残りしとんじゃ南も寝とったくせになんでアタシだけやねんな!」


そういや今日数学ん時俺もコイツも寝てもうて数学の教師どえらい怒っとったな。居眠り常習犯やからコイツだけなんとちがうんかともおもたけど、今回は俺も噛んでもうとるし、せめてもの罪滅ぼしや、ちょびっとやったろか…は、ちょおまてよこれ一年ん時の復習問題ちゃうんか。


「…こんな問題も解けんとよう三年まであがってこれたな」

「ふん、こんなもんできんでも算数出来たら世の中生きてけるんじゃ」


確かにそうやけどそういう問題ではない気がする。あんまり出来てなさ過ぎてちょびっとどころかほとんどやることになってしもた。


「なー南バスケ部やんなー、上手いんー」

「少なくとも苗字よりは上手い」

「何でそんな生意気なんさてはあんたアタシの事好きやな?まあまあ、あんたの告白はおいといて、バスケやろーやあ」


びっくりするわ。話し掛けてきたおもたら何を急に言い出すんやこのちんちくりんは。なんで俺が惚れとることわかったんや。俺そんなん一言もゆうてないハズ。いや、これはただたんにおちょくっとるだけや、落ち着け俺。


「…お前の頭ん中どななっとんや、何で今の会話で俺がお前の事好きやゆう告白になるんや頭わいとるやろ」

「なーなー南ーバスケやろうやー、なーて、ええやろー、なー」

「あーもーやかましな、これ終わったらな」


何とか逃げ切れた。よかった。こいつがアホでほんまによかった。
コイツがやるはずやったプリントをなぜか俺が全部やってしもうとる間に苗字はスカートの下に体操服の半パン履いとった。小走りで体育館に向かう苗字の後を歩いてついていく。
苗字は俺と初めて会うたん高校や思うとるけど、ほんまはミニバスん時やった。苗字が楽しそうにバスケしてたから、対戦しとった俺まで楽しい気分になったんを今でも覚えとる。
昔を思い出してたら苗字がなんやにやにや笑いながらドリブルしてきよった。ついてこれるんか南とかゆうとる。こいつ俺を誰や思とんや。





「…はあ!げほ!もしかして南むっちゃ上手いやつ?」

「アホウ、豊玉のラン&ガンなめんなよ」


数年振りに苗字とするバスケはやっぱり面白かった。俺はコイツにもコイツのバスケにも惚れてもうとるのを再確認した。


「うえ、気持ち悪い、食道痛い、吐く、立たれへん、おんぶしろ」

「めんどくさいやっちゃのう、ほれ、気ーすんだか」

「わ、ちょっ!ちょおまてい!誰がお姫さんだっこせえゆーた!」


いや、おんぶは無理。例えコイツの胸がぺちゃんこやとしても、おんぶしたら俺の背中とくっつくやん。そんなん俺の理性粉々なるわ察してくれ。なんも知らん苗字はおろせおろせ騒ぎよるけど降ろしたら背中に飛びついてきそうやしな。ソレだけは回避せな。


「暴れたら落とすぞ、ええんか」

「あっ、あかん…!落としたらあかん!」


おお、しおらしやん、黙って腕ん中におさまりよるで。あ、思ったより顔近い。…くそ、やっぱかわええな。




彼のイキシア
はるか彼方の彼女の7厄





(…やっぱり降りろ)

(あん?訳のわからんやっちゃな)




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はい、彼女の7厄の
南氏視点です。

7厄とイキシアの
しょうもない解説を
ぜひ24にて
させていただきたい。



彼のイキシア