今日は厄日。誰が何と言おうと厄日。

数学の授業中爆睡かましとったら担任にバレてもうてものごっつう怒られ、今現在居残り勉強としてプリントさせられ中なわけやけども、いつもやったら居眠りなんかバレへんかってん。隣ん席の図体のデカいアホ南も寝コケとったんが今日が厄日たる原因。
南君この問題を解いてみて下さい、何だ君寝ていたのかね、では隣の苗字さん南君のかわりにこの問題を解いてみてください、なんだ君も寝ていたのかね!どういうことだね!まったくけしからん!という具合に、アタシまで芋づる式に見付かってしまったというわけや。
そこまではええとして、何で南も居眠りしとったのにアタシだけ居残りやの?数学の先生アタシん事好きなんかアタシは嫌いやけどなぼーけー。あー問題解ける気しやんもう帰ったろか。


「なんしとん?」


げ、南。くっそこいつ自分だけ難のがれやがって今頃顔出しやがってからいに。なんしとん?やと?


「かー!しらこいのー!居眠りバレた罪で居残りしとんじゃ南も寝とったくせになんでアタシだけやねんな!」

「…こんな問題も解けんとよう高3まであがってこれたな」

「ふん、こんなもんできんでも算数出来たら世の中生きてけるんじゃ」


我ながら苦しい言い訳をしている間に、南がアタシのかわりにプリントの問題解いてくれてた。しかも解説までしてくれよる。なんや優しー怪しー後で何おごらされんねやろ恐ろしー。まーええわやらしとこ。こいつ気にいらんけどアタシより頭ええしな。ほんでバスケ部主将らしいし。文武両道とは程遠い顔してるくせに。腹立つやっちゃで。


「なー南バスケ部やんなー、上手いんー」

「少なくとも苗字よりは上手い」

「何でそんな生意気なんさてはあんたアタシの事好きやな?まあまあ、あんたの告白はおいといて、バスケやろーやあ」

「…お前の頭ん中どななっとんや、今の会話で何で俺がお前の事好きやゆう告白になるんや頭わいとるやろ」

「なーなー南ーバスケやろうやー、なーて、ええやろー、なー」

「あーもーやかましな、これ終わったらな」


ふふふ。なんやかんやゆーて南はアタシに甘い。あまあまや。プリントをさっさとやらして急いで体育館に向かう。運よく今日はどの部活もロードワークらしく、体育館は誰一人おらん貸し切り状態。よっしゃ厄日抜け出せたんとちゃう?
あれ、そういや何でアタシ南とバスケすることになったんやっけ。ああ、せやった、暇やったんや。ふふふ。まあビビれや南。果たしてお前さんはこの苗字名前のバスケセンスを目の前にして息を切らさずについてくることが出来るか?あん?





「…はあ!げほ!もしかして南むっちゃ上手いやつ?」

「アホウ、豊玉のラン&ガンなめんなよ」


なんでや、あまあまちゃうかったんかいこいつバスケになったら鬼や!アタシかてミニバスやっとったのにもうついていかれへんしんどすぎ!どこいったんやあの頃の体力!


「うえ、気持ち悪い、食道痛い、吐く、立たれへん、おんぶしろ」

「めんどくさいやっちゃのう、ほれ、気ーすんだか」

「わ、ちょっ!ちょおまてい!誰がお姫さんだっこせえゆーた!」


いや何コレ恥ずかしい!どえらい恥ずかしい!確かにあまあまやけど!顔近いから!近すぎるから!羞恥死するわもうやめてくれ!降ろせ!今すぐそっと降ろしてくれええ!


「暴れたら落とすぞ、ええんか」

「あっ、あかん…!落としたらあかん!」


さてはこの無駄にデカいカリメロ、アタシが高所恐怖症と知っとるな!大人しく南に掴まってるしかないなんて…くっそ、屈辱や。結局厄日は抜け出せてなかったんか。やっぱり今日は厄日や。誰が何と言おうと厄日や。




彼女の7厄
知るはずもない彼のイキシア




(南なんか汗で湿っとるきしょい)

(お前もな)




――――――――――――



南氏に、お姫様、だっこ…
あ、いかん、鼻血が。
ツンデレ南氏
どっかにおちてないかな。



彼女の7厄