確かに契った筈だ、永遠を、この小さな指先に。

高く聳える白銀の山、山頂を虚しく見上げた。手で掬った雪が、ぱらばらと指の間から零れる。シロガネ山の雪は繊細で柔らかい。
「つめて…」
丸めようとしたが無理だった、雪玉が造れない、さらさらすぎて纏まらないのだ。それでも吹き荒ぶ吹雪は肌を突き刺すように、痛く、凶器のよう。
感覚を失いつつある手を払い、息を吹き掛ける。

「あー…だっせ!」
ユンゲラーが入ったボールを取り出す、あんなガキのふざけた言葉にナイーブになってんじゃねえよ自分、帰るぞ。
振り返りたい衝動を堪えた、だから、会いに行けないだろ、いい加減理解しろっての。お前だって、ほんとは分かってんだろ、グリーン、早く受け入れろ。
ボールを握り締めて、冷たい空気を肺いっぱいに取り込む。鋭い冷気を、噛み締めるように深く深く、吸う。


「―――…グリーン、」

記憶を擽る、変わらない、懐かしい声が俺の名前を呼んだ。
息を止めて振り向いた、すぐに後悔した。なんで振り向いたんだよ、ばか、ばかあほまぬけ、ばかだろ自分。
「…レッ、ド…」
肌に張り付く雪が体温で溶けて、滴になってぽたりと落ちていった。

千切れかけた指先

君は約束をまもりに来てくれたの、かな。

(いつか流せなかった涙に似てる気がする。)
Title/選択式御題様
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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