「―――っ、ざっけんな!」
追い掛けてその無防備な背中を蹴り倒した。勢い的に俺も雪に埋もれる、細い肩を掴んで大きな声で叫ぶ。
「約束を破ったのはお前だろうが!何三年間行方不明してんだよ!探したんだそおばさんだって心配してたし、連絡ひとつくらい寄越せよ!しかもまた戦うだけ戦ってさよならか、三年前と同じだっせぇことしてんじゃねーよ!だいたい、」「…うるさいよ、」
大きく開いた口目掛けて掬った雪が投げつけられる、突然のことに驚き怯んで力が抜けた、と思ったら頭を掴まれて有無を言わせない力で地面に頭を叩き付けられた。柔らかい雪だって、そりゃあ降りに積もれば歩けるほどの硬度を持つわけで、その、すげえ超痛い。
「いっ、…てぇええ…!」
「俺は約束を破ってない、むしろ破りかけたのはお前。」
帽子が取れて露になった、畏怖を抱かせるような赤い瞳が俺を睨み付けた。上半身を起こして、負けずに俺も睨む、何がだ、破りかけ?
「お前、約束言え。」
「はあ?だから俺達はライバルって約束じゃねえの?何が言いたいんだ、っうわ」
地面の雪を足で蹴られた、目に入ったじゃねえか、くっそ、レッドてめえ。その足を掴んで転ばす、背中から倒れるのは腕で阻止したようだが何処かぶつけたのか痛そうに顔をしかめた。
「…忘れてる、お前」
「はあ?ちゃんと喋れよ。」
「…もし、どちらかが強くなりすぎても、もし、どちらかが弱くても。」
あ、れ。
「必ずライバルであることは止めないし、追い付いて見せる、止まることをしない、と。」
お前が言った筈だ、グリーン。
頬を殴られた。

寝転がって、その背中を見送った。
熱くなりすぎた頭には雪の地面は心地好かった、いやあ、なんつーか。
「殴られてもしゃあねえわ自分…」

千切れかけた指先

思い出したか、なら、やるべきことは、ひとつ。

(その背中は、変わらずそこに存在していた、から。)

Title/選択式御題様
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -