俺も半分は人間だから、もし何かあったらちゅーしろ、あうそうそ、殴れ。多分泣きそうな顔のゴールドに殴られれば嫌でも目覚めんだろ。以下今日の森に入る前にゴールドに言った大事な約束、勿論言ったら「くさいうざいきもいっす」で、殴られた。
「だから赤と黄色のリボンなんすかか…くっそ、そのままスルーしとけば良かった」
「結ばれてるからって足で蹴んなよまじいってえ…」
「うっせー乙女チック」
「あっはは犯すぞテメェ」
和気あいあいとしたふざけたような会話をしながら、俺は首にじくじくとした痛みを感じていた。
「…くそ、まじ、うっせえ…。」
笑った顔から一変、辛そうに顔を歪めたゴールドは太鼓や笛、鈴の音が鼓膜を揺らしているのだろう。
例え人間だろうと、半分だが妖怪である俺と命綱で共有した時点で五感は優れる。さらには境界を前に、異端の奴等に囲まれれば身体が拒絶反応を起こすのもしょうがない。耳は俺の指示を聞くため仕方ないけど、目隠しは良い考えだと思った。だってさ、誰だって見たくないだろ?
俺の繋がった首を羨ましがって、切り落とそうと、睨んでくる、存在なんて。
「せんぱい、のこえとおいーわ」
「ごめん、何にも出来ないんだ。もう少しだけ耐えてな、ゴールド」
獣道に“こいつら”を連れてはいけないから飽きて通り過ごすのを待つしか無い。多分今どんなにちっぽけな存在であろうと、一歩獣道に入れば脅威になる。
かさかさの唇を強く噛んでいるゴールドに唇で優しく触れた、驚いて薄く開いた隙間から舌を侵入させた。
グリーンみたいな完璧な妖怪であれば良かったのかな、それだったら追い払うことが出来たかな。ゴールドの知り合いのマツバって奴なら寄せ付けないのかな、半妖はデメリットばかりだ。
異端のものを、寄せ付けてしまうらしい、半妖って。
産まれてから別に半妖に哀れんだことは無かった。美人の母も、毛がふわもこな父も大好きだったから、哀れむ必要何か無かった。グリーンやブルーみたいな完璧な妖怪は少し羨ましかったけど、あいつらに出来ることはやり方は違うけど俺にも出来たから気にしなかった。気にしないようにした。
あれは、いつの日だったか。深くどろどろした、月が見えないくらい暗い闇の中。
金の瞳を見た。
背中に女の子を庇い、目を合わせるのも憚るような妖怪を怯まずに見据える、淀みの無い、金の瞳を見たのだ。
一目惚れだった。
直ぐ様に横に居たグリーンに頼み込んで倒して貰った、…いやだって俺半妖だし、むしろやられちゃうんだもん、あはは。勿論、颯爽とその光景を見せないように身体で覆って隠してやった。まあその金の瞳がゴールドと言うわけ、あ、女の子の方はイエローって言うおしとやかで可愛い子。妖怪の言いたいことが何となく分かるらしい、道理で狙われてた訳だ。
んで、一種の刷り込みは成功したようでゴールドとイエローは俺を慕ってくれた。グリーンはやっぱ妖怪だから怖いらしく、半妖の俺ならいいらしい…過去初めてこんなにも半妖であることに感謝した。
まあ右折左折屈折たまに挫折しながら見事に俺とゴールドは結ばれました、ぱんぱかぱーん。
それでは始めに戻ります、いいかな。

半妖はデメリットばかりだ。
異色ななにかを、寄せ付けてしまうらしいよ、半妖って。
あれ最初とちょっと違うかな、まあいいや。
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