まじびびった、いやまじですげえびびった。
「…すいませんあの殴らせて下さい」「あっ、ちが、うそうそ、嘘じゃないけど嘘、違う違う。」いきなり突拍子も無く何言いやがんだこの人…じゃねえか、半妖。頬を照れ臭そうに掻きながらとりあえずは否定されたので握った拳を開く。
繋いだままだった小指をほどいてレッド先輩は着物の懐から何かを取り出した。「…リボン?」「そ、命綱。」にかりと勇ましく笑い、赤と黄色のリボンをひらひらさせながら洒落にならないことを言った。
「え」「あっち渡る時に手を繋ぐけど、もしほどけたら終わりだからさ。」何が?命が?関係が?全部が?出かかった全てを飲み込んで俺はかさかさの唇舐めて笑った、こんなことで焦ってどうする、分かってることだろ、選んだのは、俺だ。お前自信だ、ゴールド。
「…いいっすねえ可愛いリボン、首にでも巻きます?むしろ足首で二人三脚とか」
笑って言った俺の頬にレッド先輩は目を細めて口付けた。内心で怯える俺に気付きながら何も言わないでいてくれるのは有難い、畜生惚れ直した。
「あっはー前者はやりたいけどどちらもちげーよ、腕出せよ、腕。」
やりたいのかよ、前言撤回、惚れ直してない通常運転だった。突っ込みを内心で呆れながら呟きつつ、両手を前に差し出した。向かい会わせになって先輩は赤いリボンを二回ほど俺の右手に回し、一回結ぶ。それでも余る長いリボンを自らの左手に右手だけで器用に結んだ。
「あ、ちげえ」「はあ?」「ゴーに目隠しさせなきゃ」着物の裾からこれまた赤い、けれど繊維は異なるであろう一メートルはありそうなリボンが出てきた。結んだものを取るのが面倒だったんだろう、繋がった手をそのままにレッド先輩は俺の目元に布を当て、覆い始めた。「ちょ、なに」「見ちゃいけないんだ、なんにも。見たらきっとゴールドでは入れなくなるから。」「は、…ん?」
ちりん、と軽やかな鈴の音がした。
「あ、れ」「駄目だよゴールド、聞いちゃ駄目。話し掛けはまだして来れないちっぽけな存在だけど、聞こうとするな」「…難しく無いっすかそれ」「聞こうとしなきゃただの雑音になるだろ、俺の声だけ聞いとけよ」「はあ…」「よっし出来た」
ごそごそと頭の後ろの違和感が消えて目を開けても真っ暗なままだった、目隠し、ねえ。
「レッド先輩、」「こわい?」
結ばれてない左手を握られる、擽ったい肌触りがして手首辺りをぎゅっと締め付けられた。黄色いリボンで結んだのか、レッド先輩も自らの右手を結んでいるのか引っ張られてる感触。
「…リボン外れないといいっすね」問われた疑問には答えずに期待と恐れを含んだ声色で呟いた。話していないと飲まれそうだ、なにかに。
しゃりんと絶え間亡く聞こえる、鈴の音に混じって笛の音と太鼓の音が交わった。
「そうだな、これは願掛けでもあるから」
「願掛け?」
「俺とゴールドが無事に結ばれますように、って」



………THE・乙女チック!
皆見たかこの乙女チック先輩を見たか、なにこの先輩超恥ずかしい!腹が捩れるような笑いが込み上げたのを必死に耐えた、耐えきれずに吹いた、吹いただけじゃ発散されずに勢いに任せて先輩の脛辺りを蹴った。
「いって!」
「すいませんあのちょっと殴らせて下さい…!」

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