「起こしてくれれば良かったのによ」
「だってめっちゃ気持ち良さそうに寝てんだもん」
「悪かったなベッド占領して」
「いいよ別に、あ、今どうやって折った?」
「ここで谷折りしてからこの隙間に指突っ込んで引っ張って」
「ふんふん?」
「んで折り曲げて先っちょ捻って」
「器用だなあ」
「お前の指でかいからやりにくいんじゃね、キーパーじゃん」
「なるほど…っと、出来た」
「俺も出来た、ホラ、鶴」

折り紙で作ったオレンジと水色の鶴を机の上に置いた、風丸が作ったのはオレンジの鶴で、こちらは見た目良く綺麗に出来ている。俺が作った水色の鶴は所々間違って折った際の不格好な跡や、折り目が微妙にずれて多少歪である。


「……あー、似てる」

歪なそれが、俺の内心を表すようで思わず零れた一言、傍に居た風丸がそれを聞き逃す筈もなく怪訝そうな視線をこちらへ向けた。


「なんでもないよ」
「うそつけ」
「うそだけどさ」
「ほら見ろ」
「似てるって思って」
「何に」
「俺に」
「何処が」
「全部?」


眉間にぐぐぐと深い皺が寄った、そんな風丸から目を逸らして置き時計で現在時間を確認。十一時半、そろそろ寝た方がいいだろう。

「片付けるぞ」

机の上の折り紙を回収、作った鶴などはタンスや本棚に飾った、机は折り畳み式なので足を掴んで内側へ曲げた、ギギギと鈍い音が沈黙の間に響いて、失言だったと内心で反省。寝てしまえばきっと忘れる、簡易サイズに畳んだ机をベッドの下の隙間に仕舞う。

「風丸、寝よう。布団でいいか?」
「……円堂、」
「なに」
「円堂守くんは風丸先生になにか隠し事をしてやがるだろ」
「そんな、一郎太さんに俺隠し事なんてしてませんわよ、浮気なんてウフフ」
「夫婦設定持ってきやがったな」
「ウフフのフフフ」
「きしょい」
「ショック」


「、円堂」

布団を引こうと立ち上がりかけた俺の手を掴んで、風丸が行動の制止をかけた。ぴたりと方膝を立てた状態で固まった俺を睨むように、あるいは射殺すように、前髪で隠れてない方の片目でじっと見据えてくるから泣きたくなった。


やめろよ、俺がどんな気持ちで、なんで、人が一生、秘めたまま隠すつもりでいる、感情を、なんで、お前は、気付くの、なんで、
なんで、お前は抉ろうとするの暴こうとするの掬おうとするの、なんでなんで、なんで、お前が泣きそう、なの。


あ、

やばい、どうし、よう、


溢れ、そう、だ。


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