いやあぐちゃぐちゃな感情をさ、これまたぐっちゃぐちゃに混ぜてさ、真っ直ぐにあんたにぶつけたとして!

「先輩は俺を嫌いになれませんよねえ!」
にやにやと押さえようともしない、緩んだ表情を向ければ心底嫌そうに睨まれた、いやあ怖い怖いなあと思いつつその視線を受け止めた。
「せーんぱいっ、レッド先輩ー」
「…うっさい、いまこっちみんな」
素肌にシーツを被って背を向けた、白い肌には俺が刻んだ赤い紅い束縛の痕、喉を震わせてくつくつと笑った。ああ、駄目だ、おかしい、可笑しくて、たまらない。
「ねーえ、先輩」
「なに」
「俺のこと嫌いになれたら楽でした?」
「全くな」
はあ、重い溜め息は艶やかな色気を微量に含む、俺は案外、こうやってレッド先輩に呆れられるのが好きだったりする。
「まあ、それでも嫌いになれないくせに!」
沈黙は肯定の代わりとして、この場では確かで甘い意味を持つ、小さく、くしゃみをした身体を抱き締めた。ベッドがぎしりと軋んで、覆い被さるように華奢な肩を抱けばまた溜め息を吐かれる。

「溜め息ばっか吐いてると幸せ逃げるっすよ?」
「お前が一番の、俺の不幸だと思え」
「ひーっでぇ」
辛辣な事ばかり、言葉ばっかり放つ唇をキスで塞いだ。文句を言い掛けて開いたままの唇に舌を押し入れた。ぐちゃり、ぐちゃぐちゃに口内を荒らしてやれば苦しいのか俺の肩に爪を立てた。
なあ、拒むならちゃんと拒んだら、レッド先輩?
シーツを片手で剥がして黒くてさらさらな髪の毛を指で掬った、抵抗はされない。
いや、あのさあ。
ぐちゃぐちゃな感情をさ、これまたぐっちゃぐちゃに混ぜてさ、真っ直ぐにあんたにぶつけたと、して!

それでも俺を愛してくれるんすよね?


∴唇塞いで幸せを取り戻せ。
(絶対の自信をぐちゃぐちゃにしてやれたら、な。)
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